レディスウォッチ vol.3
時代を紡ぐラグジュアリーウォッチの世界

岡村佳代|ジュエリー&ウォッチジャーナリスト

今回のNAVIGATOR

岡村佳代
ジュエリー&ウォッチジャーナリスト

女性が身につける機械式時計の魅力を広めた文筆家。時計の聖地スイスで開催される時計フェアの取材歴は、女性ジャーナリスト屈指のキャリアを誇る。

岡村佳代

ジュエリー&ウォッチジャーナリスト

時計専門のムックを執筆したことをきっかけに機械式時計に魅了され、自身も数々の名品を所有するジュエリー&ウォッチジャーナリスト 岡村佳代さん。全3回の連載を通して、職人の技術とメゾンの哲学が息づく時計の魅力と、女性の時計の楽しみ方についてお話しいただきます。

私が選んだ「一生もの」が、次世代へとつながっていく

人生の節目や自分へのご褒美などをきっかけに、一生ものとして選び抜く「特別な時計」。それは、丁寧にメンテナンスし、思い出を重ねるほどに、親から子、子から孫へと時を紡ぐ大切なタイムピースへと変化していきます。今回はその不変の価値を育てるにふさわしい、数々の名品をご紹介します。

やがて子や孫に受け継がれる名品を

一生ものどころか、次世代、次々世代へと継承すべき真価を宿すラグジュアリーウォッチ。実際にご自身も、両親や祖父母からもらった時計を使っているという人も多いのではないでしょうか?私は、個人的には本来すべての時計が一生もの、そして次世代に受け継いでいくべきものと考えています。重要なのは価格だけでなく、“大切な人から受け継いで使っている”こと自体がとても素敵なのです。


でもやはり、時計としての精度やタイムレスなデザイン、そして品格などを兼ね備えた長く使い続けられる時計となると、ラグジュアリーブランドのいわゆる「名品」に辿りつくというのも実際のところ。特に機械式ムーブメント搭載の時計は、メンテナンスさえちゃんとすれば、ほぼ永久に動いてくれるという「人生よりも長く使える」超!サステナブルなものなのです。最近では、こうした「サステナブルこそラグジュアリー」という考え方も広まっています。

機械式時計は高価なものですが、その価格には必ず理由があります。名門と謳われるブランドの本社工房(マニュファクチュール)を訪ねるたびに目の当たりにする、製造や宝飾の優れた技術。熟練の職人たちが情熱と矜恃を持って仕事に打ち込む姿に何度も胸を打たれ、「どれだけ人の手がかかっているか」ということと「価格」は比例しているのだと痛感してきました。そしてそれらのクラフツマンシップも、受け継がれていく時計と同じように、熟練の職人たちから若い世代へと大切に継承されていくのです。

〈ジャガー・ルクルト〉を象徴する「レベルソ」は、時計史に金字塔を打ち立てた角形ウォッチの不朽の名品。その中でもこちらは、ケースが反転するという特徴を最大限に楽しめる、表と裏で異なるデザインのダイヤルを持つモデルです。裏側はブラックダイヤルにダイヤモンドをセッティングしており、反転させると瞬時に表情が一変します。私も20年ほど愛用していて、所有している中で最もよく使うのがこの時計。今でも身に着けるたびにときめきを感じますね。

〈ジャガー・ルクルト〉Q2588422 SS レベルソ・クラッシック・ミディアム・デュエット 税込1,333,200円[松坂屋北館5階 GENTA the Watch]


ドイツのグラスヒュッテに工房を構える〈A.ランゲ&ゾーネ〉。これまでに生み出してきた名品ウォッチの中でも、最もアイコニックな代表作「ランゲ1」をひと回り小ぶりにしたこのモデルは、絶妙なサイズ感で、女性の手首にも違和感なくフィットします!ゴールド無垢にブラウンのギョーシェ仕上げが施されたダイヤルは繊細で美しく、ダイヤモンドなどのジュエリーセッティングがなくとも、十分に華やかさを演出してくれるところも粋なポイントです。

〈A.ランゲ&ゾーネ〉LS1814AA PGリトル・ランゲ1 税込5,038,000円[松坂屋北館5階 GENTA the Watch]

〈A.ランゲ&ゾーネ〉LS1814AA PGリトル・ランゲ1 税込5,038,000円[松坂屋北館5階 GENTA the Watch]

熟練の技術が結集した、宝石の輝きを時計にも

世代を超えて愛される時計には、不朽の輝きを携える宝石がよく似合います。手元に着けていると、少し勇気がもらえるようなお守り的存在として大切な1本になることも。ここからは、時計製造で磨かれた技術が光る、美しきジュエリーウォッチの世界を覗いてみましょう。

ジュエリーウォッチは、日常にも輝きをくれる

ジェムストーンの輝きとクラフツマンシップの結晶であるジュエリーウォッチは、大人の嗜みとして1本は持っていたい存在ですよね。女性にとって、腕時計は「時を刻むジュエリー」。アクセサリーと言うと少し軽い響きになってしまうけれど、やはり時計は往々にして単なるアクセサリーより存在感を放つもの。時にはジグソーパズルの最後の1ピースのように、コーディネートを引き締め、完成させる力を持っています。

華やかなパーティの夜のドレスには、艶やかに手元を彩るジュエリーウォッチを合わせて、気分を高めるのがおすすめ。また一方で、ジュエリーウォッチこそ、涼しい顔して普段使いするのもかっこいい!と私は思います。特別なお出かけではなく、シンプルなシャツにデニムといったカジュアルな装いに、お気に入りのヒールを合わせるようにジュエリーウォッチを取り入れてみてはいかがでしょうか。

アールデコの流麗なデザイン美学から着想を得た、端正な長方形ケースが印象的な〈ハリー・ウィンストン〉のアイコンウォッチ。幅広いバリエーションを展開する「HW アヴェニュー」の中でも、ダイヤル中央にあしらわれたオーバルモチーフの曲線と、ケースの直線が幾何学的なコントラストを織りなすこのモデルは、幅広いコーディネートにマッチします。もちろん、ベゼルやダイヤルにセッティングされた至高のダイヤモンドの輝きは別格で、圧倒的なオーラを手元に宿します。

〈ハリー・ウィンストン〉HW アヴェニュー・クラシック エリプティック 税込6,501,000円[松坂屋北館5階 GENTA the Watch]

〈ショパール〉を象徴する「ハッピーダイヤモンド」コレクションのコンセプト“ジョワ・ド・ヴィーヴル(生きる歓び)”を体現したモデル。2層構造のダイヤルの上を自在に躍動する15個のムービングダイヤモンドが、上方ダイヤルの下に隠れたり、下方へ姿を現したりと、ラグジュアリーなかくれんぼを繰り広げます。円状に配されたダイヤモンドには、メゾンが得意とする高度なセッティング技法を採用。透徹の煌めきが、うっとりとした時間へと誘います。

〈ショパール〉ハッピーダイヤモンド ジョワイアリー 税込5,962,000円[松坂屋南館1階 ショパール]

〈ショパール〉ハッピーダイヤモンド ジョワイアリー 税込5,962,000円[松坂屋南館1階 ショパール]

時の真価を伝える機械式時計

女性の機械式時計に対する意識は、ここ数年の間で驚くほど高まっていて、女性誌などでも「ムーブメントにこそ時計の真価が宿る」といった趣旨の記事が多く見受けられるようになりました。ただ可愛ければいいだけではなく、より本物を、よりラグジュアリーなものを、と希求して行き着いたのが、機械式時計だったという人も多いはずです。いずれも現代女性たちの価値観がより成熟し、「自分の意思で好きな時計を選ぶ」人が増えたことが理由だと感じています。
また、「機械」に惹かれる男性の時計愛好家とは違って、多くの女性たちが魅了されるのはムーブメントの構造よりも、そこに宿る歴史や伝統といったブランドの「物語」。まるで生きているような、「人」が作り出したハートビートから感じられる温もりに惹かれて、機械式時計の世界へ足を踏み入れる人も多いですね。

まさに「女性のための機械式時計」を代表する〈ブレゲ〉の名品。ブランド創業者であり、稀代の天才時計師、アブラアン-ルイ・ブレゲは数々の名作を遺しましたが、その中でもこのエッグシェイプのモデルにはひと際エレガンスが漂います。最高品質の機械式自動巻きムーブメントを搭載し、サファイア・ケースバック(透明の裏蓋)からは、精緻なムーブメントの鼓動を視覚で楽しめます。また、ジュエリーウォッチとしての美貌も兼ね備え、気高く優雅に、美しい時間を刻んでいきます。

〈ブレゲ〉8928BB/51/J20 DD00 WGクイーン オブ ネイブルズ ミニ 税込8,492,000円[松坂屋北館5階 GENTA the Watch]

今回は、時を超えて受け継がれるラグジュアリーウォッチをご紹介しました。全3回の記事を通して、レディスウォッチの魅力を感じていただけたでしょうか?女性が選ぶ腕時計が、時代とともに変わっていくのは自然なこと。そんなニーズに応え、ブランドも女性のための時計を多く手がけるようになっています。この先、どんなに可愛くて魅力的な時計に出会えるのか、私もとても楽しみです!この連載をきっかけに、美しいレディスウォッチの世界に足を踏み入れてみてはいかがでしょうか。

新時計フロアOPEN

2022年7月6日(水)、松坂屋名古屋店の時計・宝飾フロアがリニューアルオープンしました。時計売場面積を約2倍に拡大し、中でも〈ロレックス〉のショップ面積は3倍に拡大。また、上質な時計を長く受け継いでいただきたいという思いからライブリペアゾーン(時計修理工房)をフロア中央へ移設しました。⽊の素材感を⽣かしたインテリアや観葉植物が息づく開放的な空間で、ゆったりと特別な一本をお選びいただけます。
9月末に迎えるグランドオープンでは〈オメガ〉がブランドラインアップに登場し、ブランド数は63から81ブランドへと拡大予定です。進化した時計サロン「GENTA the Watch」をぜひお楽しみください。

詳細はこちら>

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岡村佳代 KAYO OKAMURA

東京都出身。大学在学中から『JJ』などで執筆活動を開始。その後フリーランスとなり、『LEON』、『STORY』の創刊に携わり活躍の場を広げ、時計専門のムックの編集・執筆に携わったことをきっかけに時計の世界に開眼。女性に機械式時計の魅力を啓蒙した第一人者として、バーゼル&ジュネーブの時計フェアの取材歴は女性ジャーナリスト屈指のキャリアを誇る。一方でグルメや旅行にも並々ならぬ熱意を注いでおり、豊富な知識と遊び心を持ち合わせた文筆家でもある。

※掲載品は2022年9月1日時点の取り扱い商品・価格です。商品の内容や価格は変更になる場合がございます。
※数量に限りがある商品もございますので、品切れの際はご容赦ください。
※予約販売となる商品もございます。
※写真はイメージです。撮影用の装飾品は商品に含まれておりません。