‒ テンペラによる ‒ 第11回 居島春生 洋画展
‒ テンペラによる ‒ 第11回
居島春生 洋画展
2023年6月14日(水)→20日(火)最終日は16時閉廊
「描きたいものを描く。ただそれだけで、絵画は特別なものでなくていい」。居島春生氏のことばです。 一方でまた、「人の役に立つ絵を描きたい」、そのようにも氏は語ります。
古くから、たとえば信仰、史実、思想、肖像など、何かを伝えたい、残したいと願う人たちによって絵画が制作されてきました。 しかし、写真の登場によって、絵画の記録性が薄まり、また個々人がますます自由に記録媒体を操れるようになった現代において、絵画制作者であることの意味を何処に求めるか、それは各人各様でしょう。
早くから商業美術の分野で頭角を現し、厳しいリクエストにも応える仕事の日々を経て、現在は時間帯を問わず描きたい時に筆を執り、好きなモティーフを選べる喜びを感じている、という居島氏。
その制作の過程は、まず描きたい作品のイメージを蓄積させること。そして、そのイメージの完成形までが醸成された中から、一点ずつ、他の作品と同時進行させることなく、仕上げられていきます。描き直しのきかないテンペラ技法で、完成予想図目指して数多に重ねる克明な筆致と、とりわけ緑の澄明かつ静けさを湛えた色調は、まさに「居島調」と称すべき響きをもち、琴線の共鳴を喚ぶのです。
AIの台頭に耳目の集まる昨今、人の手による、しかも居島氏でなくては表し得ない作品の数々に触れ、込められた願いを汲み、心の安寧が訪れる一助となれば幸甚です。
略歴
- 1948年
- 北海道留萌市に生まれる
- 1971年
- 毎日デザイン賞特選
- 1991年
- 昭和会展招待出品
- 1992年
- 林武賞展出品
個展 松坂屋名古屋店(’95、’00、’02、’05、’08、’11、’14、’17、’20)
- 2020年
- 個展 松坂屋上野店(’22)
- 現在
- 無所属
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