昭和、平成、令和を歩んで 村上裕二 日本画展
昭和、平成、令和を歩んで
村上裕二 日本画展
2026年1月3日(土)→13日(火) 営業時間:10時〜19時 ※最終日は16時閉廊
龍もペガサスも、現実には存在しない、想像の産物です。それは誰もが自明の理、とするでしょう。また、富士山も実際にはこれほど見事な赤をまとうことはないはず。しかし、それらが強烈な存在感を発揮して眼前に差し出され、芸術作品としての説得力を持つ—それが村上裕二氏の世界です。
絵空事、という言葉は、現実にはないこと、として使われますが、確かに絵は、何をどのように描いても「空事」です。その「空事」を、いかに作品世界として成立させるか。その筋道は多種多様ですが、そこに画家の腕の見せどころがあると言えます。
昭和39年、東京オリンピックの年に生まれた村上氏は、高度成長期の日本のアニメや漫画、特撮物などまさに昭和の文化のシャワーを存分に浴びて育った世代です。
氏の作品からは、あたかも劇中のワンシーンを思わせるようなストーリー性が濃厚に感じられます。
また氏の仕事の大きな側面として、我が胸中のリアルと向き合い続けている事実は欠かせません。
描かれた富士山には実際に登頂して山の厳しさを体感し、阿弥陀様は仏門に身を置き修行を重ねた経験から、また龍は奈良の當麻寺の障壁画を手掛けたことで益々自家薬籠中のモチーフとして大いなる魅力を放っています。
かつてのウルトラマン、仮面ライダーやゴジラへの挑戦も、少年時代に大きな影響を受け、画家としての自身が描きたいものは何なのかを追求してこその帰結でした。
昭和から時代が進むにつれ、さまざまなコンテンツが発達、細分化して、分かりやすいヒーローが必ずしも求められない環境となりました。また、サイエンスが過去の時代に謎とされていた事象を明らかなものにしている例も少なくありません。
しかし、現実世界に生きる困難さが解消されているかというと、むしろ真逆の様相を呈している、令和を迎えた今の日本。絵画の世界にあらまほしき姿を求め、「空事」を楽しむ自由が必要ではなかろうか、という氏の問いかけが、岩絵具の美しい発色と共に、観る者の心に迫りくる珠玉の作品群。
どうぞこの機会にご高覧くださいますようご案内申しあげます。
大丸松坂屋百貨店
日本画の展覧会です。
横山大観、前田青邨、奥村土牛、片岡珠子、平山郁夫をはじめ、沢山の先人が日本画の道を後続者達に示して下さいました。ぼくも影響を受けた一人です。自覚を持って毎日、絵画創作に邁進しております。
展覧会は画家にとりまして、大きな目標設定と同じです。開催していただける事への感謝の気持ちを大切に、今の自分の力を精一杯尽くしました。
大丸松坂屋での展覧会は、更に気分が上がります。日本画の先人方が大いにこの舞台で活躍されていた逸話を思い出し、その現場を体感出来る喜びが湧き上がるからです。
よろしくお願い申し上げます。
村上裕二
「赤富士のひみつは」4S
「三人の故郷へ」10S
「出風の中へ」10S
「青不二に猛る龍」10F
「物語の空」8S
略歴
- 1964年
- 東京都に生まれる
- 1987年
- 東京藝術大学美術学部絵画科日本画専攻卒業
- 1989年
- 同大学院研究科(日本画)修士課程修了 院展初入選
- 1995年
- 第50回春の院展奨励賞受賞(同'96,'98,'99)
- 1996年
- 再興第81回院展奨励賞受賞(同'98)
- 1997年
- 再興第82回院展日本美術院賞(大観賞)受賞(同'99)
- 1998年
- 第17回日本美術院奨学金(前田青邨賞)受賞
- 2000年
- 日本美術院同人推挙
- 2006年
- 第61回春の院展 春の足立美術館賞受賞
第15回MOA岡田茂吉賞絵画部門優秀賞受賞
- 2008年
- 得度授與、画家活動停止
延暦寺比叡山行院にて初伝に補し、四度加行所作授與
- 2010年
- 画家活動開始
- 2012年
- 再興第97回院展文部科学大臣賞受賞
画集『ウルトラマンの世界』(求龍堂)
- 2013年
- 歌舞伎座新開場柿葺落七月花形歌舞伎筋書表紙絵担当
- 2016年
- 再興第101回院展内閣総理大臣賞受賞
- 2017年
- 画集『仮面ライダーの世界』(求龍堂)
- 2022年
- 画集『ゴジラの世界』(求龍堂)
- 現在
- 日本美術院同人・理事 師・平山郁夫
作家来場予定
※来場日時は変更になる場合がございます。時間によっては不在の場合がございます。
■期間/2026年1月10日(土)・11日(日)
※諸事情により営業時間など変更になる場合がございます。詳しくは、アプリまたはホームページにてご確認ください。

