第三回となる本展では、一作家としての立場から、日々の制作のなかで、心に残った方々を選ばせていただきました。

出品作家は愛知県立芸術大学の卒業生であり、それぞれが自身の道を探りながら、確かな歩みを続けています。その姿勢の中に、絵を描くことの面白さと深さを感じます。

「玉の会」は、片岡球子先生の「絵は上手でなくてもいい。続けることに意味がある」という教えに由来します。
“玉”には、磨かれながら光を見つけていく思いも込められています。

いまはAI が整ったような画像や動画をあっという間に作れてしまう時代です。しかし絵の世界では、精緻さを超えたところにこそ、人の息づかいがあり、手の迷い、震え、思いどおりにならない面白さがあります。
その“ゆらぎ” や“ノイズ” の中に、人の体温や時間が残っているように思います。

どうぞご覧いただき、画面の奥にあるそんな息づかいを感じていただければ幸いです。

日本美術院 同人・理事
松村 公嗣