インタビュー
2017.11.29
− 特集 − 作家は語る 日本画 岡田眞治
僕と日本画とヨーロッパ
[Fine Art Collection −ファインアートコレクション−
2017年12月14日(木)→ 19日(火)
松坂屋名古屋店 南館8階 マツザカヤホール]
日本画の伝統的な技法・材料を活かし、ヨーロッパの風景を柔らかな色彩と繊細なタッチで表現。
日本画の新たな可能性と楽しみ方を開拓された岡田眞治先生に、12月14日(木)より開催の松坂屋「ファインアートコレクション」出品への思いや、現在の創作活動などについて語っていただきました。
新しい出会いも楽しみ、
「ファインアートコレクション」。
「ファインアートコレクション」は、松坂屋の中でもとくに大規模な催事。出品者の一人に選んでいただき、とても嬉しく思っています。また、いつも個展を見に来てくださるお客様に加え、初めてのお客様や、幅広い年代層のお客様に見ていただけるので、どんな新しい出会いが待っているのか楽しみです。今回は、ヨーロッパの街並を描いた新作のほか、トスカーナの田園風景を描いた作品も出品します。
誰も描いていない日本画、片岡球子先生も後押し。
ヨーロッパの風景を描き始めたのは、「誰もやっていないことをしたい」という気持ちが強くあったからです。
中世の面影が残るヨーロッパの街並がもともと好きだったということもあります。でも、最初の頃は、「なぜ日本画なのに、ヨーロッパの風景なんだ」と非難されましたね。そんなとき、僕の背中を押してくださったのが、片岡球子先生です。「おもしろい、どんどん描けばいいじゃない」と。現・愛知芸大学長の松村公嗣先生も、アルハンブラ宮殿を描くのに適した場所についてなどアドバイスをくださいました。お客様の志向や現代の住宅事情も、ヨーロッパの風景を描き続ける後押しになったと思います。
実は日本画に向いている、ヨーロッパの石畳や建物。
日本画とヨーロッパの風景、しっくり合う時間帯があります。夕暮れや朝陽が昇る直前の10〜15分です。
その時間帯ならではの、しっとり感、もや感、トワイライト感が日本画に向いているのです。場所なら、水がある所。水蒸気感が日本画に合うんですね。ただ、デッサンするのは大変ですよ。ロケハンを行って場所を決めたら、午後早めから鉛筆デッサンを始め、夜10時頃のライトアップの時間になったら水彩で素早く色を付ける。細部までしっかりと描き込んだものと、水彩で色をつけたもの、デッサンは2枚必要になります。
日本画で使用する絵の具はどれも、石を削って作られます。ヨーロッパの石畳や古い建物も、やはり石で作られています。つまり素材が同じなんですね。色調だけでなく質感もヨーロッパの街と日本画は相性が良く、油絵では描ききれない世界を創りだすことができます。
若い仲間を支える、長く続けさせる、
それは愛知芸大の伝統。
大学の授業がある日は、午前中に学部での実技指導を行い、午後は大学院と一般の授業です。学生との交流が深まるのは、在学中よりもむしろ卒業後ですね。絵が本当に好きで、親に反対されても、食べていけなくてもいいから絵で生きていく。そんな覚悟を決めた学生が、いっぱい勉強して苦労して「院展」で入選する。学生が僕らの仲間になったときですね、一緒にうまい酒を飲めるのは。その後も、長く絵を描き続けることができるよう、お客様を紹介したり、お客様が付いてくださる展覧会を作ってあげたりするのが先生の役目。片岡先生も、松村先生も、そうされてきました。愛知県立芸術大学の伝統なのです。
岡田 眞治 略歴
岡田眞治先生の次回の個展
第四回 岡田眞治 日本画展
─ 彩りの街より、風と光のシンフォニー ─
2018年2月14日(水)→ 23日(金) 開催
Fine Art Collection
2017年12月14日(木)→ 19日(火)
※各日10時〜19時 ただし最終日12月19日(火)は16時閉場
松坂屋名古屋店南館8階 マツザカヤホール