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インタビュー

2018.01.29


-特集- 作家の本音座談会


グループによって磨かれた「自分らしさ」 10年を経て見えてきたもの

[G6展 
2018年5月16日(水)→22日(火)開催 
松坂屋名古屋店本館8階美術画廊]

団体展の出品や所属に関係なく、東京藝術大学の日本画科出身のメンバーが集まった「G6展」が、松坂屋名古屋店美術画廊で2018年5月16日(水)から開催されます。

節目の10回目を迎えたということで、一度区切りをつけ、来年からは新たな形での展覧会を予定しています。そこで今回は彩鳳堂画廊の本庄俊一さんを司会に迎え、G6展のコンセプトやこれまでの歩みなどについてお聞きしました。

仲間とは違う自分を求め続ける

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写真左から並木英俊さん、大久保智睦さん、三枝淳さん、泉東臣さん、大沢拓也さん、川又聡さん、本庄俊一さん

本庄 今日はお集まりいただき、ありがとうございます。G6展の基本構成のメンバーは、東京藝大の日本画科出身者。2009年に東京の彩鳳堂画廊でG5として5人で始まり、2011年に1人追加されて今のG6になりました。その後、2014年に松坂屋名古屋店を廻り、さらにその翌年、大丸心斎橋店も廻るようになりました。このG6展も東京展だけですと今年で10回目になります。まずはG6展のコンセプトについてお聞かせください。

 G6展では、作品のコンセプトは毎回変わっています。そのなかで変わらないのは、仲がいいやつらの間で、お互いに舐められたくないと思って頑張ること。そういうものがあったらいいなと思ってやってきています。

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大久保 同世代で藝大で一緒にやっていたメンバーではあったけど、所属しているところは違うし、みんな違う色を持っていた。だからそれぞれのカラーを何か出してやりたいというところはありましたよね。

 個人的には、何を表現しようということよりも、ほかの5人が何を出してくるのかを気にしてるところがあります。それに合わせて、自分は今回こういうのをやろうかな、とか考える。だからその場その場のコンセプトには、あまり重要性がないのかな。

大沢 泉くんは、以前は抽象風景というか、青だったら青、赤だったら赤みたいな統一された風景みたいなものが多かった。だけど、今は極彩色というか、空間感も割とカオスな感じに変わっていっているような気がする。

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 最初はこの展示はモノトーンが多いから、青とかでバチっとやろうと思って。それからシリーズ化して作品をつくるようになっていったんだけれど、それがメインになり過ぎてしまって。今はもっと違うことをやろうという風に変わっていっている最中です。

大久保 グループ展というとメンバー的に結構偏ってしまうことが多いし、バラバラだったら今度はまとまりがなさ過ぎてしまう。その辺りは泉くんがすごく考えてやってくれましたよね。ここまで打ち合わせをして、自分たちでもつくっていくというグループ展はないと思います。作品の内容についても、もっと自由に自分を出していけ、みたいな。

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大沢 自分は、特に大久保くんとコンセプトというか、目指している方向が似ている部分があるのかな、と学部生のころから感じていました。だから自分から似ないように、どうにか離れていこう、というのは考えますね。

大久保 グループ展というとメンバー的に結構偏ってしまうことが多いし、バラバラだったら今度はまとまりがなさ過ぎてしまう。その辺りは泉くんがすごく考えてやってくれましたよね。ここまで打ち合わせをして、自分たちでもつくっていくというグループ展はないと思います。作品の内容についても、もっと自由に自分を出していけ、みたいな。

継続によって現れてきたパワー

本庄 G6展も今回で10回目を迎えるわけですが、これまでの10年を振り返ってみてどんなことを感じていますか?

川又 今でこそG6展イコール彩鳳堂みたいなイメージになっていると思うけれど、泉君がメンバーを集めたときは、まだやるところが決まっていなかったんだよね。そのころの彩鳳堂では、藝大の若手の日本画をあまり出さなかったイメージ。

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 日本画の若手はいなかったね。今だってあまりいないんじゃないですか。

川又 だから、やっぱり最初は身構えたよね。彩鳳堂画廊でやるんだ、どうしよう、という感じがあった。

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 特にまだ20代で若かったしね。

三枝 だから10年前は彩鳳堂画廊が怖かった。今だって怖くないわけじゃないけど(笑)。俺は後ろ盾が何もなかったんですよ。だから初めのうちはみんなに迷惑をかけないように、自分がとにかくできる精いっぱいのことだけやる。それだけだった。

並木 僕は後から参加なんですけど、やっぱり彩鳳堂画廊のハードルの高さは感じていました。ただ、メンバーの世代が近いから講評会に出すような感じで出し続けているところがある。自分も新しいものを出そうという気持ちでいけるし、同じ絵だったとしても何かうまくなったな、と見ているような、そういう展示だなと思います。

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大久保 展示の形態が成長をすごくわからせてくれるのかもしれない。普通のグループ展だったら、小作品で1人1~2点ぐらいの注文が多い。公募展だったとしても、40号、50号1点とか150号1点でドーンとなる。けれどもここの場合は、小作品もあるし、中ぐらいの作品もあるし、大作もあるし。それを毎年みんなが出していくから、成長過程が結構わかるんじゃないかな。

並木 やはり長く続けるというのは、同じように見えて変わっているんだと思う。この10年も、区切りで見たらすごく成長していると思うし、たとえば院展にしても100年という長いスパンで見たら節目がある。

大久保 たしかに昔の図録とか見ると全然違う。10年区切りで見たら、本当に違いがわかるからね。

並木 院展も最初は岡倉天心とかが数人で始めたんですよね。パトロンを探して、続けさせてくれと言いながらやっていったわけです。グループだからこそ強いというのがある。G6も10年続けたというのは、やはりすごくパワーがあることなんだと思います。

 何でも10年もやると、いい意味で何か出てくるよね。最初は何もないところから、100年やれば院展になってしまうわけだからね。

川又 最初は2年目をやるとか、そういう話もなかったよね。やる気はあったの?

 彩鳳堂画廊がだめだったらまたほかを探そうかな、ぐらいには思っていましたよ。

本庄 今年で東京展10回目といいうことで、一度区切りをつけるいいタイミング。来年は新たに組み直して、ほとんど同じメンバーで新しい展覧会をやりたいと思っています。

それぞれの想いを持って自分自身の表現を追い求めてきた6人。ひとつの区切りとなる10年目の作品を、ぜひご覧ください。

プロフィール

泉東臣 Izumi Haruomi

1979年 千葉県生まれ
2003年 東京藝術大学美術学部絵画科日本画専攻卒業
2005年 東京藝術大学大学院修士課程(中島研究室)修了
2010~2012年 東京藝術大学非常勤講師
現在 日本美術家連盟会員、創画会所属
受賞歴
2004年 臥龍桜日本画大賞展 奨励賞受賞
2005年 修了制作 デザイン賞受賞

大久保智睦 Okubo Tomomutu

1978年 東京都生まれ
2004年 東京藝術大学美術学部絵画科日本画専攻卒業
2006年 東京藝術大学大学院美術研究科日本画修士課程修了
修了模写 「国宝源氏物語絵巻」 東京藝術大学買い上げ
修了制作 帝京大学買い上げ
現在 日本美術院院友 文教大学講師
受賞歴
2002年 東京藝術大学安宅賞
2007年 再興第92回院展 初入選(~‘15)
2008年 第63回春の院展 初入選(~‘15)
2011年 「有芽の会」法務大臣賞
再興第96回院展 奨励賞 天心記念茨城賞

大沢拓也 Osawa Takuya

1979年 埼玉県生まれ
2004年 東京藝術大学美術学部絵画科日本画卒業
2006年 東京藝術大学大学院美術研究科日本画修了
2009年 東京藝術大学大学院美術研究科後期博士課程美術専攻
現在 日本文化財漆協会 会員
受賞歴
2004年 卒業制作 台東区長賞・サロンドプランタン賞受賞
2006年 第33回創画展 奨励賞受賞
2008年 第34回東京春季創画展 春季展賞受賞
2009年 修了作品 野村賞受賞
2010年 第36回春季創画展 春季展賞受賞

川又聡 Kawamata Satoshi

1979年 神奈川県生まれ
2005年 東京藝術大学美術学部絵画科日本画専攻卒業
2007年 東京藝術大学大学院美術研究科日本画修士課程修了
修了制作 東京藝術大学買い上げ
2010年 東京藝術大学大学院美術研究科日本画博士後期課程修了(学位取得)
受賞歴
2005年 第3回トリエンナーレ豊橋 星野眞吾賞展入選
2010年 東京藝術大学 教育研究助手(2013年迄)

三枝淳 Saegusa Atsushi

1979年 長野県生まれ
2003年 東京藝術大学美術学部絵画科日本画専攻卒業
2005年 東京藝術大学大学院修士課程(中島研究室)修了
受賞歴
2005年 独立展入選

並木秀俊 Namiki Hidetoshi

1979年 千葉県生まれ
2003年 東京藝術大学美術学部絵画科日本画専攻卒業
2005年 東京藝術大学大学院美術研究科文化財保学専攻保存修復(日本画)修了
修了制作 東京藝術大学買い上げ
2008年 東京藝術大学大学院美術研究科文化財保学専攻保存修復(日本画)博士課程修了
修了制作 東京藝術大学買い上げ
現在 東京藝術大学助教、愛知県立芸術大学非常勤講師、日本美術院院友
受賞歴
2004年 第89回再興院展 初入選(以後毎年)
2008年 野村美術賞
2010年 第25回有芽の会 日本更生保護協会理事長賞
第16回天心記念茨城賞
江戸川区文化奨励賞
第65回春の院展 奨励賞(第66・67・69回)
第95回再興院展 奨励賞(第97回)
2011年 第66回春の院展 外務大臣賞
2012年 第27回有芽の会 法務大臣賞

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松坂屋名古屋店 本館8階
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地下鉄栄駅 16番出口より南へ徒歩5分

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