Vol.50 松坂屋コレクション2022 ーYUKATAーゆかた展|松坂屋史料室
2/2

白の木綿の生地に、糊防染にて藍一色で日本三景を表現した染織品です。日本三景の厳島、天橋立、松島を繊細な模様で表したデザイン。裾模様の荒々しく渦巻く波など繊細かつ大胆な動きが見られ、藍一色ながら多彩な表現が楽しめます。雛形本とは、流行の小袖模様や意匠を描いた木版刷りの冊子です。寛文期(1661〜73)以降、江戸中期を最盛期として数多く刊行されました。江戸時代のいわゆる「小袖の見本帳」である雛形本は、小袖の背面に模様が表わされ、袖下の左右に模様や色技法などが描かれています。雛形本の出版総数は180〜200種類程と言われていますが、松坂屋はその半数程度を所蔵しています。店のイメージアップと集客を図ることを目的に、昭和3(1928)年に創刊した名古屋店のPR誌『マツサカヤ』は、各季節の商品紹介、催事案内の他に、名古屋市内における映画やイベント等のガイドブックとしての役目もはたしていました。東京版の「新装」は、昭和10(1935)年に会社創立25周年の記念として創刊されました。グラビアを多様した流行商品紹介、各月の催事案内、随筆・俳句・童話など文芸読み物の3つが柱でした。表紙を飾った女性の画像と相まって新鮮な感動を呼び、わが国を代表するPR誌とみなされました。発行部数は3万部強。東京をはじめとする得意先への配布のみでなく、定価10銭で駅売りも行いました。戦時色が濃くなった昭和13年(1938)年をもって休刊を余儀なくされましたが、戦後、昭和26(1951)年に復刊しました。昭和6(1931)年から昭和14(1939)年までの9年間、松坂屋は高級呉服のデザインの参考にするため、江戸時代以前の染織工芸品を全国から数多く収集しました。収集品は、松坂屋京都仕入店で保管され、後に「松坂屋コレクション」と呼ばれることとなりました。国の重要文化財指定の衣裳も含む約1,500点の松坂屋コレクションは、平成23(2011)年より一般財団法人J.フロントリテイリング史料館が保存・公開しています。白の木綿の生地に、藍で楼閣庭園を表現しています。布の両面に糊を置き、藍に浸染し模様を表現する茶屋染の技法を用いています。江戸時代の帷子をデザインソースとした、外出用の浴衣と考えられます。人間国宝の富本憲吉が着用したといわれる染織品です。通期展示通期展示ひ ぜんつつ そでひきりょうもんひ ぜんかじ正徳ひな形正徳3(1713)年マツサカヤ昭和4(1929)年6月当世模様 雛形宿の梅享保15(1730)年新装昭和10(1935)年7月定紋入模様(江戸後期)たて わく白の木綿の生地に、模様は、藍で立湧模様に、肥前松浦家の三つ星紋、立ちかじ梶の葉紋で表現した浴衣です。三星は、三武、将軍星ともいわれます。筒袖仕立てが特徴的な染織品です。7.白木綿地立涌❖ 松坂屋コレクションについて ❖6.白木綿地楼閣庭園模様(江戸後期〜明治初期)8.紺麻地梶葉三星定紋入模様(江戸後期)紺の麻地に、肥前松浦家の家紋である三つ星紋、立ち梶の葉紋を表現し、さらに引両紋の「丸の内に二つひき」は、2本線が天に昇る2匹の龍をあらわし、天下を取るを意味します。衣装後期展示5.白木綿地日本三景模様(江戸後期〜明治初期)雛形本松坂屋PR誌

元のページ  ../index.html#2

このブックを見る