vol.2

カメラ好きを虜にするライカ。
その求心力の秘密とは?

たや まりこ|フォトグラファー

今回のNAVIGATOR

たや まりこ
フォトグラファー

ライカを扱う写真家として、雑誌や広告など幅広い分野で活躍中。 ライカ京都店では、ライカアカデミーの講師を務めている。

たや まりこ

フォトグラファー

ひょんなことから偶然ライカに出会い、知らず知らずのうちにその世界にどっぷりと浸かってしまったという京都在住の写真家 たや まりこさん。自身の世界観を反映させる作品撮りだけではなく、雑誌や広告などのクライアントワークでもライカを扱う彼女は幅広い分野で認められるライカ愛好家です。今回は全3回の連載で、「どんな人でも一目見ればわかる」と言われるライカの奥深い魅力について、たやさんならではの視点でお話しいただきます。

人々を惹きつけてやまない、ライカのおもしろさ

今回は松坂屋名古屋店〈ライカストア〉のスタッフをゲストに迎え、ライカMシステムが愛され続ける理由や近年のフィルムカメラ人気についてなど、さまざまな角度からカメラ愛溢れる対談をお送りします。お二人の会話から、写真の世界の言葉にできない魅力を感じてみましょう。

時を超えて愛されるライカMシステム

不自由さの中に喜びを見つけて

たやさん:今日はライカMシステムを中心にお話できればと思います。M型ライカといえばレンジファインダーですが、レンジファインダーの魅力はどんなところだと考えますか?

スタッフ:やはり一眼レフやミラーレス一眼とは違うものですよね。一眼レフなどは覗いたときに写る範囲しか見えませんがレンジファインダーはフレームの外側も見える。動いている被写体が来たときに構図のどこでシャッターを切るかを頭の中で考えながら撮れるんです。瞬間を切り撮れるという点でスナップ撮影には特におすすめです。

たやさん:そうですね。でも普段ライカMシステムを扱っていない私にとってレンジファインダーは実はあまり馴染みがなく、ピントを合わせるのが少々難しいイメージがあります。

スタッフ:おっしゃる通り、レンジファインダーを搭載しているM型ライカなどのピント合わせには少し時間がかかります。しかしその分被写体と向き合う時間が生まれて、「ピント合わせの数秒が贅沢な時間だと感じる」というお声をいただくことも多いんですよ。

たやさん:なるほど。たしかに被写体の特徴を捉えるための数秒と考えれば興味が湧いてきますね。M型ライカはストイックなカメラということで一般的なカメラに備わっているオートフォーカスや手ぶれ補正機能も搭載されていませんが、その「必要最低限さ」が魅力を引き立てているように感じます。M型ライカの不自由な魅力について、どうお考えでしょうか?

スタッフ:オートフォーカスを愛用している方は多くいらっしゃり、その良さは一般的によく知られています。でも一方では、オートフォーカスがあることで常に想像通りの写真が撮れるため、写真の魅力の一つである偶然性が減ってしまうという考えも耳にしますね。狙わずに偶然撮れた写真がすごく美しかったり、予期しない手ブレが思いもよらぬ臨場感を引き出したり。そういった写真本来の良さを再確認させてくれることが、ライカMシステムが数々のカメラマンを惹きつける理由の一つかもしれません。

アナログのぬくもりが次世代を魅了する

たやさん:そういった偶然性への興味というものは昨今のフィルム回帰にも現れているように感じます。特に若い方がフィルムカメラを好んで扱っている印象を受けるのですが、ストアスタッフとしてフィルムカメラを求める声を実感することはありますか?

スタッフ:実際にそういったお客様は多いですね。日常の中にスマートフォンがあってデジタルに慣れているからこそ、音楽のストリーミングサービスとレコードのような感覚でアナログのぬくもりに興味を持つ人が増えているのかなと思います。ライカでは現在ライカM-Aという露出計も電池も搭載されていないフィルムカメラを販売していますが、そのアナログ感を気に入っていただけるお客様の中には20〜30代の方も多くいらっしゃいます。

たやさん:やはりアナログが愛されることにはそういった理由があるんですね。余談ですが、ライカM-Aのような比較的新しいカメラでもアダプターを付ければ昔のレンズが使えるのはライカの素晴らしいところだと思っています。

スタッフ:そうですね。アダプターを付ければ80年前のレンズを付けることもできます。ライカにこのようなシステムが採用されているのは、やはりお客様の人生に寄り添うカメラでありたいという作り手の思いが反映されているのだと感じます。


ミラーレスの魅力を知る

たやさん:私は普段、ミラーレスカメラであるライカSLを使っているんですが、ストアスタッフが考えるミラーレスの特徴についてお聞かせいただけますか。

スタッフ:ライカMシステムと比べるとミラーレスを採用しているライカSLシステムでは設計の制約がなくなっているため、レンズのサイズがより大きくなっています。ライカが作りたかった理想のレンズを体現したシステムだとも言われており、実用的で写りがよいところが魅力ですね。

たやさん:そうですね。先ほどお話したライカMシステムだと、なかなかこうはいかないというか。とにかくライカSLは使っていてストレスを感じることが少ないです。現在は24-90(バリオ・エルマリート SL f2.8–4/24–90mm ASPH.)というレンズを使用しているのですが、ここにあるレンズを見ているとやはり新たなレンズを使ってみたいなと思いますね。ボディの使い勝手はライカSLからライカSL2になって格段によくなったと感じています。実は、デザインはライカSLの方が好きなんですが…。

スタッフ:ライカSLシステムを愛用いただけてとても嬉しいです。見た目に関しては、アルミの削り出し感はライカSLの方がより出ているかもしれません。そこがカッコいいとおっしゃっていただけることもあります。

たやさん:やはりライカSLボディのファンは多いんですね。このカメラは私が初めて使ったライカで、仕事にも作品撮りにも使える大好きなカメラです。これからも色んな写真をこのカメラで収めていきたいです。

ライカはなぜ「特別」なのか

たやさん:ここまでライカに関することを沢山お話ししてきましたが、ライカが人々に愛され続ける理由について、どうお考えですか?

スタッフ:色々とあるので、一言で表すのはとっても難しいのですが、やはり難しさの中に楽しさを見出せるところも、大きなポイントであると思います。

たやさん:なるほど。私は個人的にカメラ自体の魅力もすごくあるなと感じているんです。質感もそうですし、シャッター音もすばらしい。持っているだけでうれしくなってしまうような特別感が好きです。

スタッフ:そうですね。考え抜かれたカッコ良さもライカの特徴です。

たやさん:また、レンズが大きく設計がしっかりとした大口径レンズへの時代的な転換があっても、ライカの代表的なカメラはライカMシステムだと思います。どうしてこんなに小さなレンズでパワーのある写真が撮れるんでしょうか?その秘密についてお聞きしたいです。

スタッフ:やっぱり一番はレンズの写りが他とは全く違うというのがありますね。一眼レフやミラーレスは時代とともに写りがよくなっていますが、そもそも“ライカMシステムはレンズ設計の哲学が違う”と言われているんです。高級腕時計のような複雑な哲学が詰まっており、そういった神秘的な部分も魅力に感じていただけているのかなと思います。

たやさん:謎があるということがまた一つの魅力になっているんですね。

スタッフ:そうなのですが、一番はやはり実際に写りを見ていただきたいですね。 ご夫婦でいらっしゃるお客様ですと、旦那様がライカをお好きで、奥様は写真に興味がないということもあるんです。しかし、一枚撮って写りをお見せすると “全然違う、すごいね”とおっしゃって表情がぱっと変わるんですよ。そういった言葉にできない魅力を、ぜひ体感していただきたいです。

今回は、対談を通じてライカの具体的な魅力をお届けしました。簡単には言葉にできないその奥深さに、時を忘れて話し込んでしまいました。
次回はライカM10、ライカM10モノクロームを実際に使っての撮影レポートと松坂屋名古屋店の〈ライカストア〉についてご紹介いただいた様子をお届けします。お楽しみに。


次回は2月下旬の更新を予定しています。


ライカ松坂屋名古屋店 北館3階 TEL:052-264-2840

M型ライカの最新機種「ライカM11」を店頭でお試しいただけます。また、写真家として国内外で活躍する佐藤健寿氏の写真展示「MICROCOSM #japan」を開催中です。新製品「ライカM11」を携え、日本各地を独自の視点で撮り下ろした作品7点を展示しています。ぜひこの機会にご来店ください。

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たや まりこ MARIKO TAYA

株式会社カリテリンク代表。高校では漆芸、短大ではインテリアを専攻するなど幅広い素養を持つ写真家。大学卒業後は高校の頃から興味があった写真に関わるため、さまざまな現場でのアシスタントを経験。2003年に独立し、現在は京都を拠点に雑誌や広告、人物、花、料理、お菓子などを撮影している。自身の作品のみならず、クライアントワークの中でもライカを扱う写真家で、スタッフとの親交が深いライカ京都店ではアカデミーの講師も務めている。