ジュエリー vol.1
傑出した美が心を奪う、ダイヤモンドジュエリー

岡村佳代|ジュエリー&ウォッチジャーナリスト

今回のNAVIGATOR

岡村佳代
ジュエリー&ウォッチジャーナリスト

女性たちに機械式時計の魅力を広めた文筆家。世界中のメゾンを訪れるうちにその技術が注ぎ込まれたハイジュエリーの輝きを知り、現在までさまざまな記事を手がけている。

岡村佳代

ジュエリー&ウォッチジャーナリスト

ジュエリー&ウォッチジャーナリストとして数々の一流メゾンのジュエリーにふれ、自身も数々の名品を所有する岡村佳代さん。全3回の連載を通して、唯一無二の輝きとメゾンの哲学が詰まったジュエリーの魅力と、その楽しみ方についてお話しいただきます。

ダイヤモンドの輝きに射抜かれて

その美しい輝きに誰もが虜になるジュエリー。上質なものを持っていると、それにふさわしい精神性や立ち振舞いが身につくとも言われ、女性のお守り的存在でもありますよね。今回は、そんなジュエリーの中でも王道の輝きを誇るダイヤモンドジュエリーの魅力についてお話しします。


いつの時代も人々を惹きつけるジュエリーの魅力

私が本格的にジュエリーにふれるようになったのは、大学生の頃でした。当時から記事を書いていた雑誌「JJ」でジュエリー特集を担当させてもらうことが多くて。その後フリーになり、世界文化社でカルティエのムックを作ったことをきっかけに、より多くの宝石やジュエリーのことを勉強するようになりました。毎年のように取材しているスイス・ジュネーブのウォッチズ&ワンダーズ(旧SIHH)という時計フェアでは、メゾンの美学を表すような珠玉のハイジュエリーが時計と同時に展示されていて、ありがたいことに20代の頃から職人の技術とセンスが詰まった宝石の輝きを肌で感じることができたんです。

突き抜けた本物を見たことで、「石は世界に1つしかない。それぞれに個性があって、それがデザインされてジュエリー作品になっているんだ」とわかるようになりました。そんなメゾンのクリエイションを身に纏えるからこそ、ジュエリーは私にとって、気持ちを高めたり、落ち着かせたり、守ってくれたりするとても心強い存在です。
そして、ダイヤモンドが愛され続ける一番の理由はやはり、一目見て「美しい!」と感じられる絶対的な輝きにあると感じます。たとえばレストランでのお食事中、いいダイヤモンドジュエリーをつけていると、他のどの宝石とも違うキラキラとした光をはっきりと実感することもあるんですよ。
そんなダイヤモンドジュエリーですが、高価だからと言って、大切にしまっておくのはもったいないです!とっておきの日に堂々と着けこなすためにも、普段から身に着けて楽しむことをおすすめします。特にダイヤモンドは硬いので簡単には傷つかないし、リングやブレスレットで取り入れる場合には、石鹸をつけて手を洗っても大丈夫。また、色がないものが多いのでどんな服装にも合わせやすいという嬉しいポイントもあります。そのためダイヤモンドジュエリーは、ある意味最も日常使いに適しているジュエリーだと言えるでしょう。


ダイヤモンドジュエリーの選び方

せっかくダイヤモンドを手に入れるなら、上質なものを選びたいですよね。ここからは、世界共通のダイヤモンドの品質基準についてお話しします。

・品質基準「4C」とその中でも注目したい「カット」
ダイヤモンドジュエリーを選ぶときにチェックしておきたいのは、「4C」と言われる品質基準。4Cとは、カラー、クラリティー(透明度)、カット、カラットを指し、この4つの基準によってダイヤモンドの品質と価値が決められています。

そして、4Cの中で最も重要といえる基準は「カット」です。カットは、その宝石がもっとも綺麗に輝くように綿密な計算のうえで施されます。理想の輝きを実現するために、繊細な技術と卓越したセンスが求められるため、それぞれのメゾンの特徴が出やすい部分でもあります。例えば、エンゲージリングなどでもお馴染みの、宝石の輝きを最大限に引き出すと言われるラウンドカットなど、さまざまなバリエーションがあります。あらゆるカットを見て、好みの形を見つけてみるのも楽しいですね。

ラウンドカット
画像提供:〈ヴァンクリーフ&アーペル〉

ペアシェイプカット
画像提供:〈ヴァンクリーフ&アーペル〉

・品質基準「4C」とその中でも注目したい「カット」
ダイヤモンドジュエリーを選ぶときにチェックしておきたいのは、「4C」と言われる品質基準。4Cとは、カラー、クラリティー(透明度)、カット、カラットを指し、この4つの基準によってダイヤモンドの品質と価値が決められています。

クッションカット
画像提供:〈ヴァンクリーフ&アーペル〉

オーバルカット
画像提供:〈ヴァンクリーフ&アーペル〉

そして、4Cの中で最も重要といえる基準は「カット」です。カットは、その宝石がもっとも綺麗に輝くように綿密な計算のうえで施されます。理想の輝きを実現するために、繊細な技術と卓越したセンスが求められるため、それぞれのメゾンの特徴が出やすい部分でもあります。例えば、エンゲージリングなどでもお馴染みの、宝石の輝きを最大限に引き出すと言われるラウンドカットなど、さまざまなバリエーションがあります。あらゆるカットを見て、好みの形を見つけてみるのも楽しいですね。

・「カラー」の基準と希少なファンシーカラーダイヤモンド
基本的には、ダイヤモンドは無色に近いほど希少性が高いとされています。D〜Zまでの基準があり、Dは無色で、下に行くほど黄味が強くなります。これらの色の違いは職人以外の目ではわからないほど細かなものですが、その違いがダイヤモンドの品質に大きく影響します。また、ダイヤモンドの採掘過程でまれに見つかる「ファンシーカラー」と呼ばれる色付きのダイヤモンドは、ピンクやブルー、イエローなどさまざまな色があり、特にレッドやブルーは希少なものです。こちらは、透き通ったダイヤモンドとは一味違う輝きを感じられる存在です。


・一流メゾンのジュエリーには、物語がある
一流メゾンのジュエリーは、細部までのデザインのこだわりだけでなく、自然と肌に馴染むような着け心地を体感できることも特徴。また、多くのメゾンは王侯貴族のためにジュエリーを作ってきた歴史があるため、ダイヤモンドのクオリティが厳格に決まっていて、磨き抜かれた職人の目でしかわからないほど繊細なレベルで最高のものを集めているんですよ!その矜持が詰まった作品を手に入れられるということが、私たちに「物語を買う」ような感覚を届けてくれるのです。

歴史あるメゾンの美意識を体感する

ここからは、優美に輝くダイヤモンドジュエリーを生み出す一流メゾンのアイテムをご紹介。そのこだわりをお伝えしながらも、ダイヤモンドの魅力へさらに迫ります。

伝統的かつ革新的なデザインが魅力の〈カルティエ〉

1847年フランス・パリでの創業以来、王侯貴族が愛するメゾンとして名を馳せた〈カルティエ〉。数々のモチーフからインスピレーションを得て、それらをさまざまなジュエリーや時計に昇華させるクリエイティビティの豊かさには、「悔しいけどやっぱり可愛い!」と見るたびに感動してしまいます。

〈カルティエ〉を象徴するレッドボックスは、ジュエリーへの期待を高める特別な存在。
レッドボックス入りリング:Vincent Wulveryck © Cartier

1847年フランス・パリでの創業以来、王侯貴族が愛するメゾンとして名を馳せた〈カルティエ〉。数々のモチーフからインスピレーションを得て、それらをさまざまなジュエリーや時計に昇華させるクリエイティビティの豊かさには、「悔しいけどやっぱり可愛い!」と見るたびに感動してしまいます。〈カルティエ〉が使用するダイヤモンドには、つい先ほどお話しした「4C」の基準に加えて、さらに厳しい独自基準が設けられています。また、多彩なセッティングを見事にアイテムに取り入れているのも大きな特徴です。

パリ店外観:Lucie et Simon © Cartier

〈カルティエ〉が使用するダイヤモンドには、つい先ほどお話しした「4C」の基準に加えて、さらに厳しい独自基準が設けられています。また、多彩なセッティングを見事にアイテムに取り入れているのも大きな特徴です。

Studio Triple V © Cartier

優雅な印象のあるソリテールですが、イヤリングになるとさらに新鮮な可愛さがありますね。横から見ると長年にわたって愛されている〈カルティエ〉のcモチーフがさりげなく現れて、女心を絶妙にくすぐります!

〈カルティエ〉「C ドゥ カルティエ」イヤリング 0.23ct~ 税込752,400円~[松坂屋本館1階]


小さなダイヤを高度な技術で曲線上にちりばめた、パヴェセッティングの「パンテール」コレクション。願望と魅惑の象徴である、〈カルティエ〉のアイコンを体現した見た目の美しさはもちろん、隅々まで細かなダイヤで埋め尽くされているのにもかかわらず、滑らかな毛並みを表現した独自のセッティングも、このコレクションが長きにわたって愛される理由の一つです。

〈カルティエ〉「パンテール ドゥ カルティエ」 ネックレス 税込3,814,800円[松坂屋本館1階]

Amélie Garreau © Cartier

〈カルティエ〉上:「パンテール ドゥ カルティエ」 ネックレス 税込3,814,800円

毛並みの質感を表現したセッティング
© Cartier
〈カルティエ〉「パンテール ドゥ カルティエ」 ブレスレット 税込16,632,000円(参考価格)[松坂屋本館1階]

小さなダイヤを高度な技術で曲線上にちりばめた、パヴェセッティングの「パンテール」コレクション。願望と魅惑の象徴である、〈カルティエ〉のアイコンを体現した見た目の美しさはもちろん、隅々まで細かなダイヤで埋め尽くされているのにもかかわらず、滑らかな毛並みを表現した独自のセッティングも、このコレクションが長きにわたって愛される理由の一つです。

Vincent Wulveryck © Cartier

対照的なカットのダイヤモンドが並置された、メゾンのクリエイティビティが佇む「リフレクション ドゥ カルティエ」コレクション。これはダイヤモンド好きにはたまらない一品ですね。〈カルティエ〉だと一目でわからないアイテムというところにも、メゾンの技術にかける情熱を感じます!

〈カルティエ〉「リフレクション ドゥ カルティエ」リング 税込3,537,600円[松坂屋本館1階]

〈ヴァンクリーフ&アーペル〉が追求する独自のダイヤモンド

1906年フランス・パリに創業し、長きにわたって女性の心をつかみ続ける〈ヴァンクリーフ&アーペル〉。フェミニンなアルハンブラのイメージをお持ちの方も多いと思いますが、葉っぱや花、雫など、自然界のまばゆい輝きを作品に見事に反映するメゾンでもあり、私はどちらかというと、ナチュラルなコレクションに惹かれることが多いです。自然のモチーフから導き出される女性らしいしなやかさは、身に着ける者の品性を内面からも自然と高めてくれます!

〈ヴァンクリーフ&アーペル〉のダイヤモンドジュエリーには、世界品質基準の「4C」のチャートの中でも特に高ランクの石のみを選び抜いたものが使われていることでも知られ、メゾン独自の比類なきダイヤモンドの追求を続けています。

〈ヴァンクリーフ&アーペル〉のダイヤモンドジュエリーには、世界品質基準の「4C」のチャートの中でも特に高ランクの石のみを選び抜いたものが使われていることでも知られ、メゾン独自の比類なきダイヤモンドの追求を続けています。

アイコニックな花冠モチーフから着想を得た「フルーレット」コレクションより、ラウンドカットが施された7石を主役にセッティングしたリング。同じ大きさのダイヤモンドを集めて表現されたモチーフは1粒1粒の美しさが引き立ち、シンプルながらダイヤモンドの輝きを堪能できる一品です!

〈ヴァンクリーフ&アーペル〉フルーレット リング 税込1,927,200円[松坂屋本館2階]

高低差のある花びらがダイヤモンドの輝きを引き出す「ロータス」コレクションのリング。東洋の空気を感じさせる気高く新鮮なモチーフは、甘いだけじゃない〈ヴァンクリーフ&アーペル〉の姿を見せてくれます。

〈ヴァンクリーフ&アーペル〉ロータス アントレ レ ドア リング、4フラワー 税込3,498,000円[松坂屋本館2階]

雪の結晶のキラキラとした輝きを多様な解釈で表現した「スノーフレイク」コレクション。緩やかな曲線にもダイヤモンドを隙間なくセッティングする技術に加え、裏面には光を取り込むための細かな空洞が設けられており、太陽の光やライトを受けてより一層輝きます。

〈ヴァンクリーフ&アーペル〉スノーフレイク ペンダント、スモールモデル 税込7,326,000円[松坂屋本館2階]

今回は、古くから世界中に愛されてきたダイヤモンドジュエリーの魅力についてご紹介しました。その絶対的な輝きに息づく、メゾンの物語を感じていただけたでしょうか?次回は、身に着ける者のクリエイティビティを大胆な色使いで刺激する、カラージェムストーンの世界についてご紹介します。お楽しみに。


次回は2月下旬の更新を予定しています。

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岡村佳代 KAYO OKAMURA

東京都出身。大学在学中から『JJ』などで執筆活動を開始。その後フリーランスとなり、『LEON』、『STORY』の創刊に携わり活躍の場を広げ、時計専門のムックの編集・執筆に携わったことをきっかけに時計の魅力に開眼。女性に機械式時計の魅力を啓蒙した第一人者として、バーゼル&ジュネーブの時計フェアの取材歴は女性ジャーナリスト屈指のキャリアを誇る。取材のため、世界中のメゾンを訪れるうちにその技術が注ぎ込まれたハイジュエリーの輝きを知り、現在に至るまでジュエリー分野においてもさまざまな記事を手がけている。

※掲載品は2023年1月27日時点の取り扱い商品・価格です。商品の内容や価格は変更になる場合がございます。
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※写真はイメージです。撮影用の装飾品は商品に含まれておりません。