知れば知るほど魅了される
ワインの世界
中谷利恵|ワインエデュケーター
今回のNAVIGATOR
中谷利恵
|ワインエデュケーター
外資系、日系エアライン国際線客室乗務員の経験を活かし、名古屋でワイン講座やチーズ講座の講師を務める。企業への出張ワインセミナー、トークショー、ワイン会などでも活躍中。
ワインエデュケーター
大人の毎日を彩る相棒としてのワイン
友人たちと一緒に楽しんだり、一人でグラスを傾けたり。さまざまな楽しみ方のあるワインは、改めて、大人の嗜みとして注目されています。お料理に合うワインを選ぶことができたら、自宅やレストラン、旅行先で、より楽しみが広がることも。知れば知るほど奥深い世界が広がるワインの魅力をご紹介いたします。
ワインには自分だけのきっかけがあっていい
私のワインへの扉の一歩は、CAの訓練時代のこと。オーストラリアのエアラインでの訓練中、ワインのサービス方法を学んだときに、1冊のワインの本を買ったのが始まりでした。その後、ワインの本場ヨーロッパのエアラインに転職し、各国で郷土料理をワインと楽しんだり、ワイン産地を巡ったりするように。好きが高じて在職中にワインとチーズの資格も取得しました。 退職してからは、資格を活かしてワインも楽しめるチーズ教室を主宰することに。その後、いろんなご縁をいただき、今はワイン講座やチーズ講座の講師を務めています。ワインは地理や世界史にも関連しているので、知れば知るほどたくさんの発見があり、長年ワインに携わっていても興味が尽きません。世界には膨大な数のぶどう品種があり、気候や土壌など環境もさまざま。造り手さんのスタイルなどもあるので、生涯勉強なのでしょうね。
ワインが好きになってからは、休日にもワインを気軽に楽しむことが多くなりました。自宅では蟹のサンドイッチに合わせて、蟹のラベルのロゼワインを購入するなど、食材とラベルのデザインを合わせるという楽しみ方も好きですね。外では、ワインを持ち寄ってのBBQパーティーや、ジビエを楽しむワイン会に出かけるなど、ワインラバーの皆様と一緒に休日を楽しんでいます。
外食が難しかった時期には、機内食を購入された方に招かれ、旅行好きの方々と機内搭載ワインを持ち寄って「大人の飛行機ごっこ」をしたことも。細部までこだわって大人が真剣に遊ぶのは楽しいものです。きっかけはワインのラベルのデザインからでも。興味を持たれたことから、気軽にワインを楽しんでいただければと思います。
食事が楽しくなる「おうちワイン」と出会う
いろんなワインを試して、自分だけの「おうちワイン」をもつのもいいでしょう。こんな気分・このお料理のときにはこのワイン!というのがあると、お食事もより楽しくなりますよ。 今回ご紹介する私の定番「おうちワイン」は、白ワイン1本とロゼワイン2本です。私は昔から自宅でお料理に合わせやすいロゼワインが好きなので、ロゼワインは2本ご紹介します。まず、白ワインはフレッド・ロイマーの「グリューナー・フェルトリーナー」。オーストリアを旅行中、ウィーンのレストランで郷土料理の「ウィーン風カツレツ」に合わせて出てきたのがこの品種のワイン。ソースをかけた豚カツには赤ワインを合わせるので、カツなのに白ワイン!?と驚いたのを覚えています。このウィーン風カツレツは仔牛を使っていて、レモンを絞っていただくお料理。青リンゴやレモン、ライムなどの柑橘系の香りがあり、酸味がいきいきとしているグリューナー・フェルトリーナーがぴったりなんです。レモンや塩でいただくお寿司や天ぷら、柚子を添えたお鍋やポン酢でいただくお鍋などの和食にもよく合うので、家飲みにおすすめのワインです。
今こそ試すべき、魅力たっぷりのロゼワイン
世界的には以前から定番の、辛口ロゼワイン。かわいらしいピンクの色合いで甘そうなイメージですが、辛口が定番で合わせやすい食材が多いのが特徴です。最近の言葉でいうと、「フードフレンドリー」なワイン。えび、かに、サーモン、鱒など、ロゼワインと同じピンク系の食材とは特に相性抜群ですよ。 おすすめの1本目は山梨の醸造家が手掛けるキスヴィンワイナリーの「キスヴィン シラー・ロゼ」です。こちらは、赤系ベリーにピンクペッパーのようなややスパイシーな風味があり、中華料理、タイ料理、ベトナム料理などのアジア系のお料理にぴったりです。
2本目は、ドイツのフリードリッヒ・ベッカーの「プティ・ロゼ」。綺麗なピンク色で、いちごや木苺、さくらんぼのような香りの辛口ロゼ。フリードリッヒ・ベッカーはドイツを代表する造り手で、このロゼはもともと彼が自家用に造ったもの。ご家庭で家族と気軽に飲むのに最適なロゼだということがわかります。ラベルには「イソップ寓話」のきつねとぶどうのイラスト入りで、見た目もかわいらしいロゼです。サンドイッチやピザなどにも合わせやすいロゼワイン、ぜひ一度試していただきたいですね。
生産国による違いを味わう
世界中で造られているワインですが、伝統的な生産地であるヨーロッパを「オールド・ワールド」、新大陸が発見されて以降の、ぶどう栽培やワインの歴史が新しい国々を「ニュー・ワールド」と呼びます。オールド・ワールドのワインは、元々その地域の郷土料理に相性の良い味わいで、お料理と合わせるのが基本。一方、ニュー・ワールドのワインは、凝縮した果実の香りや味、風味があり、お料理がなくてもワインだけで楽しめるように造られているものが多いのが特徴です。ワイン初心者の方には、果実味が強く、はっきりわかりやすいニュー・ワールドのワインをおすすめすることも。対照的な2つの地域のワインを飲み比べて、お好みのタイプのワインを見つけていくのも楽しいのでは?
ビターチョコレートにニュー・ワールドの赤ワインを合わせて
今回は、ビターチョコレートにニュー・ワールドのカベルネ・ソーヴィニヨン種の赤ワインをセレクトしました。ペアリングのコツは、ワインにある香りや風味を合わせることです。1つ目はデメルの「ソリッドチョコ ミント」×ベリンジャー・ヴィンヤーズの「ナイツ・ヴァレー カベルネ・ソーヴィニヨン」。このワインはニュー・ワールドのアメリカ・カリフォルニア州で造られていて、黒系果実のカシスやブラックベリー、すーっとしたミントの香りや風味があり、チョコレートのようなニュアンスもあります。このワインを初めて飲んだときに「これはミントのチョコに合う!」と確信しましたね。いろんなミント系のチョコレートを試して、一番ぴったりきたのがミントの清涼感の強いこちらのデメルのチョコレート。絶妙なハーモニーを楽しめますよ。
もう1つの組み合わせはDeux Annの「ガトームニ」とシャトー・イガイタカハの「カイト ジンファンデル」。濃厚なガトームニには、同じくらいボリューム感のある赤ワインが合うと思って考えてみました。ガトームニはとろ〜っとした食感なので、アルコール度数が高めのとろりとしたテクスチャーのフルボディのワインを。こちらも同じくニュー・ワールドのアメリカ・カリフォルニア州のワインで、レーズンやダークチョコレートのような香りや風味があります。スペアリブ、焼肉、BBQ、今流行のスパイス料理にもおすすめです!
今回は、ワインとの付き合い方や、おすすめのワイン、生産国による味わいの違いなどをご紹介しました。普段あまりワインを飲まないという方にも試しやすいラインアップですので、気になった方はぜひ一度味わってみてくださいね。 次回は、食事とワインの相性や、ワイングラスの選び方などをご紹介します。お楽しみに。
次回は1⽉下旬の更新を予定しています。
中谷利恵 RIE NAKATANI
国際線客室乗務員出身のワインエデュケーター。キャプランワインアカデミーWSET®認定講師。日本ソムリエ協会認定シニアソムリエ、チーズプロフェッショナル協会認定チーズプロフェッショナル、WSET®Level3など多彩な資格を持ち、独自の視点でワインの楽しさや奥深さを伝えている。中日文化センター講師、コマンドリー・ド・ボルドー コマンドゥール。
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