インナーウエア vol.1
今こそバストケアを!大人のためのインナーウエアの選び方
武田尚子|ジャーナリスト
今回のNAVIGATOR
武田尚子|
|ジャーナリスト
国内では数少ない、インナーウエアに精通しているジャーナリスト。「パリ国際ランジェリー展」の取材は35年以上におよぶ。インナーウエアの歴史に関する書籍も執筆。
ジャーナリスト
インナーウエアをアップデートしよう
皆さんはインナーウエアをどんなふうに選んでいますか?インナーウエアは服の下という隠れたところで身に着けるものですが、デザインが素敵なもの、フィット感のあるものなど、“自分の体と心にぴったりなもの”にこだわればこだわるほど、より自分らしくより快適な毎日を送れるようになりますよ。vol.1では「バストケア」をテーマに、ブラジャーの選び方について解説します。最新のトレンドにも要注目です。ぜひ本記事を参考に、ブラジャーをアップデートしてみてくださいね。
インナーウエアの文化や歴史を伝えたい
私はボディファッション業界専門誌の記者として5年間働き、30歳でフリーランスになって今に至ります。ボディファッションとは、いわゆるインナーウエアのこと。海外では今は「ランジェリー」と呼ぶのが一般的です。私はインナーウエアに関して、たとえばブラジャーのデザインや機能性についてのマニアックな視点というよりは、トータルかつ文化的な視点で見ています。衣服としてのインナーウエアに興味があるんです。ファッションの表舞台にあるものとは違って、インナーウエアは普段は見えないので特殊な感じがしますよね。みんな当たり前に着ているけれど、あまり話題にはならなくて。そんなインナーウエアの隠れた歴史を掘り起こしたいという気持ちもあり、インナーウエアの動向を追って記録に残すことができればと思っているんです。長いファッションの歴史の中にあるインナーウエアの歴史をきちんと残すことは、女性の歴史を残すことでもあり、特に日本国内においてはそれが自分の使命、役割なのではないかと思っています。ブラジャーやショーツといった“もの”自体ももちろん好きですが、その“もの”の裏側にある人の歴史や変遷をまとめたいんです。
海外には、ランジェリーの歴史をまとめた本がたくさんあるのですが、日本にはブラジャー以外はほとんどありません。そこで、ホームウエアやナイトウエア、ラウンジウエアの分野をコンセプトにした本を執筆しました。昭和30年代に日本でインナーウエアの革命を行った鴨居羊子という人の評伝を書いたのが私の出発点です。日本にはインナーウエアの変遷を長年見続けている人が他にあまりいないので、自分の役割を強く意識することがよくあります。
長年国内外でインナーウエアの取材を行っているのですが、パリ国際ランジェリー展を中心に定期的な年2回の海外取材は35年以上続けています。この仕事の原動力となっているのは、実際に現地に足を運んでしか感じることのできない一次情報。ネット上に二次情報、三次情報が溢れている時代ですので、今まで以上に一次情報を大事にしていきたいです。そして、体力が続く限りは取材をし続けたいですね。
大人の女性には、体と心に合ったインナーウエアを
私が思う大人の女性とは、衣食住バランス良く、自分のスタイルを持っている人のこと。外側の衣服であるシャツやスカートにこだわるのと同じように、内側の衣服であるインナーウエアも大事にしてほしいのです。人には見られない内側まで気を遣うことで、より自分らしくいられるようになると思います。また、人は年齢とともに体が変化しますので、変化した自分自身を受け入れなければいけません。変化に気づかず、もしくは変化した自分を受け入れずに同じインナーウエアを着用し続けると体に合わなくなる可能性があります。逆に、体の変化によって、着心地、肌触りなどを含め、体や肌が受け入れられないものも増えますので、自分に正直になることが大切です。まずは、心の声に耳を傾けて、肌や体型に合うものを探してみることから。体と心に合ったインナーウエアを選ぶことがポイントです。
自分の体型を知って、愛して、ボディポジティブに
最近「ボディポジティブ」の意識が広がってきているのはご存知でしょうか?ボディポジティブとは、“社会や他人が決めた理想的な体型・外見に左右されず、自分のありのままの姿を受け入れよう”という考え方のこと。インナーウエア業界では4、5年ほど前から世界的にこの考え方が広がり、それが今も継続しながら進化していて、多様性の時代だなと感じます。広告などにも、いろんな体型、年齢、肌の色のモデルさんが起用されるようになってきています。私自身も若い頃は身長が高いことを気にしていました。仕事で海外に行くようになってから、世の中にはさまざまな人がいるのが当たり前だと気づき、気にならなくなりました。
また、今年1月のフランス・パリのランジェリー展では、ボディポジティブに加えてジェンダーレスが進んでいるのを感じました。女性のインナーウェアに使われているのと同じ素材のレースを使ったトランクスなども登場していて、美意識に男女の差はないのだなと感じたんです。自分の体を受け入れるのと同じように、自分の好みで選べるような世の中になると良いなと思います。
一人ひとりの体に合わせたブラジャーを
ボディポジティブな今の世の中では、さまざまな体型の方に合うサイズを展開したり、ユニセックスラインを展開したりするブランドも出てきました。〈ワコール〉には、一人ひとりの体に合わせたブラジャーをオーダーできる「ワコールサイズオーダー」というブランドがあります。“一般品だと自分に合うサイズがない”“しっくりくるフィット感のものがなかなかない”といった悩みに寄り添うブランドで、熱烈なファンも多いのだそう。通常だとトップバストとアンダーバストを測ってカップサイズを出すのですが、「ワコールサイズオーダー」ではワイヤーの幅まで測ることでより体に合ったものに近づけることができます。「カップ」「ワイヤー」「アンダー」のサイズからカップスタイル・デザインまで選べて、自分の体や心にぴったりフィットするブラジャーがつくれるというのが最大の特徴です。つけ心地や理想のバストメイク、デザインにこだわりたい方はぜひ試してみてくださいね。フィッティングの際には専門のスタッフに相談しながら「着けて動いたときのフィット感」、「胸の幅とワイヤーの幅が合っているか」、「バストの上、脇の部分が綺麗にフィットしているか」をチェックしましょう。
ボディポジティブな今の世の中では、さまざまな体型の方に合うサイズを展開したり、ユニセックスラインを展開したりするブランドも出てきました。〈ワコール〉には、一人ひとりの体に合わせたブラジャーをオーダーできる「ワコールサイズオーダー」というブランドがあります。“一般品だと自分に合うサイズがない”“しっくりくるフィット感のものがなかなかない”といった悩みに寄り添うブランドで、熱烈なファンも多いのだそう。通常だとトップバストとアンダーバストを測ってカップサイズを出すのですが、「ワコールサイズオーダー」ではワイヤーの幅まで測ることでより体に合ったものに近づけることができます。
「カップ」「ワイヤー」「アンダー」のサイズからカップスタイル・デザインまで選べて、自分の体や心にぴったりフィットするブラジャーがつくれるというのが最大の特徴です。つけ心地や理想のバストメイク、デザインにこだわりたい方はぜひ試してみてくださいね。フィッティングの際には専門のスタッフに相談しながら「着けて動いたときのフィット感」、「胸の幅とワイヤーの幅が合っているか」、「バストの上、脇の部分が綺麗にフィットしているか」をチェックしましょう。
〈トリンプ〉でも、お客様のお悩みを伺ったあとに4箇所を計測してお客様のボディタイプを診断し、一人ひとりに合ったアイテムの提案とフィッティングを行っています。体に合ったブラジャーを選ぶためには、まず自分の体を知ることから。コロナ禍のステイホーム期間を経て、体に変化がある方もいらっしゃると思うのですが、自分ではその変化に気づきにくいもの。自分のサイズを知ることのできるサービスを活用して、“自分の今の体”の情報をアップデートしておきましょう。店頭では混み合う可能性があるので、事前予約をおすすめします。
国内外の取材を通して感じたのですが、日本ほどお客様に寄り添うサービスがある国は他にあまりないかもしれません。歴史あるインナーウエアブランドもあり、信頼して購入することができます。今はネット社会ですから、オンラインと店頭の融合でさらに素敵なサービスが生まれることも期待できるかもしれませんね。
ブラジャー選びのコツとトレンド
ワイヤーブラジャーやノンワイヤーブラジャー、ブラトップなど、ブラジャーには、さまざまな種類があります。選び方としては、その日の体調、ファッション、過ごし方などに合わせるのがよいと思います。日によってベストなブラジャーは変わりますので、意識して合うものを選んでみましょう。また、疲れている日は体を休ませることのできるようなノンワイヤーブラジャーを選ぶ、気持ちを引き締めたい日にはホールド感のあるワイヤーブラジャーを選ぶなど、気分に合わせて選ぶのもよいでしょう。
ここから、トレンドについても見ていきます。日本を含め、世界にはたくさんのインナーウエアブランドがあり、それぞれのトレンドデザインや先進的な機能が影響しあっています。海外ブランドのいいところを取り入れたり、長年培ってきた日本の技術力を活かしたりと、インナーウエアは日々進化しているんです。今回は、注目すべきさまざまな種類のブラジャーをピックアップしました。
|TOPICS 1|“ラクでキレイ”を叶えるブラジャー
コロナ禍でライフスタイルに変化が起きたことにより、ブラジャーも多様化しました。まずは、ノンワイヤーブラジャーの定着です。おうちで過ごす時間が長くなったことで、ラクに過ごせるブラジャーが選ばれるようになったんです。主に、ワイヤーブラジャーに近い補整力のあるものと、胸を開放するようなラクな着心地なものの2つに分かれているので、日によって選べるのが良いところ。特に、ラクだけれど、胸の形を綺麗に保てる。そういった進化系ノンワイヤーブラジャーが選ばれているようです。ワイヤーブラジャーでも、締めつけ感のないラクなつけ心地で程よく補整できるものが人気です。
おすすめなのは〈トリンプ〉のフロラーレ。フラワーアートの世界からインスピレーションを得たコレクションです。FL704シリーズのノンワイヤーブラジャーは、下からバストをすくい上げるハリ感メイクシート®がついているため、ワイヤーブラジャーと同じようにバストを寄せることができます。3Dソフトパッド付きで、胸元に綺麗なボリュームを作ってくれます。FL117シリーズのブラジャーは、パッドがついていないのが特徴。クッション性の高いファイバーフィルを使用し、リフトアップ効果が高いパターンを採用して、パッドよりさらに自然なバストメイクを叶えます。背部の下辺は総レースになっていて締めつけ感のないラクな着心地。背部の上辺は生地が折り返しになっていて、食い込みにくくなっています。背中の段差が気になるという方にもおすすめです。
おすすめなのは〈トリンプ〉のフロラーレ。フラワーアートの世界からインスピレーションを得たコレクションです。FL704シリーズのノンワイヤーブラジャーは、下からバストをすくい上げるハリ感メイクシート®がついているため、ワイヤーブラジャーと同じようにバストを寄せることができます。3Dソフトパッド付きで、胸元に綺麗なボリュームを作ってくれます。
FL117シリーズのブラジャーは、パッドがついていないのが特徴。クッション性の高いファイバーフィルを使用し、リフトアップ効果が高いパターンを採用して、パッドよりさらに自然なバストメイクを叶えます。背部の下辺は総レースになっていて締めつけ感のないラクな着心地。背部の上辺は生地が折り返しになっていて、食い込みにくくなっています。背中の段差が気になるという方にもおすすめです。
|TOPICS 2|気分を上げるブラジャー
最近では、特に若い世代の方たちの間で、透け感のあるシンプルなアイテムや、色っぽさのあるセダクションなブラジャーがトレンドです。コロナ禍真っ最中の頃には、ラクなもの、快適なものが最優先で選ばれていましたが、withコロナとなった今、おでかけの機会や人と一緒に過ごす時間が増えたこともあり、“気分を上げる”ようなアイテムがほしい!という思いに応えるブラジャーがたくさん登場しました。シンプルであっても、どこかおしゃれでセクシー。そんなアイテムが人気です。〈Yue〉のBJP454は、リバーレースに重ねた幾何学模様のケミカルレースが美しいブラジャー。深いVのカットラインのレースから素肌が覗くセンシュアルなデザインです。カシュクール上辺にレースをあしらい、谷間に美しい透け感を演出します。気品と存在感のある華やかな胸もとになりますよ。
|TOPICS 3|胸を小さく見せるブラジャー
近年、人気が続いているのが、胸を小さく見せるブラジャーです。胸のボリュームのある方が着用することですっきり見せることができるので、服やファッションに合わせてこのブラジャーを選ぶという方が多いですね。以前は胸=盛るものという考え方が浸透していましたが、今は多様性の時代。盛るのも美しく、自然なバストも美しく、小さく見せるのも美しいのです。自分の悩みに合わせて選びやすい時代になったのではないでしょうか。
例えば〈Yue〉のキュキュートリュクスシリーズがおすすめです。フロント部分には伸びないチュールを重ねてあり、前から支えるのでスタイリッシュな胸もとを叶えてくれます。また、伸縮性のない素材のシートをカップ内側に内蔵しており、脇への広がりをおさえます。一般的に、胸を小さく見せるブラジャーは、機能優先になりがちですがこちらのシリーズはデザインも特徴的です。BJP010は、ガラス細工のようなステッチ模様を取り入れ、肌に映える美しい仕上がり。BJP060は、上品な趣のリバーレースとチュールを重ね、綺麗な透け感が魅力になっています。
|TOPICS 4|リラックス気分に合うカップ付きキャミソール
ゆったり着られるアイテムの中で私のイチオシなのが、〈ワコール〉のインポートブランド〈HANRO〉のカップ付きキャミソールです。〈HANRO〉はスイスにて創業したブランドで、贅沢な着心地と快適性を大切にしてつくられた上質でシンプルなインナーウエアが世界中で愛されています。コットン100%で着心地がよく、サイドや裾部分には縫い目がないため優しい肌あたりです。1枚でブラジャーの機能も果たしてくれるので、週末におうちや旅先のホテルで過ごす日などの、ゆっくりしたいときにぴったり。1枚持っておくと重宝するアイテムだと思います。
今回は、ブラジャーの選び方を中心にご紹介してきました。今の自分に合うものを身につけることで、より心地よく、そして気分も軽やかに過ごせるようになるはずですよ。あなたにぴったりのブラジャーを見つけてみてくださいね。次回は「もっとヒップコンシャス」をテーマに、ショーツやガードルについてお話します。お楽しみに。
次回は6月下旬の更新を予定しています。
武田 尚子 NAOKO TAKEDA
ボディファッション業界専門誌記者を経て、1988年にフリーランスとして独立。ファッション・ライフスタイルトータルかつ文化的な視点から、インナーウエアの国内外の動向を見続けている。特に世界のインナーウエアトレンドの発信拠点「パリ国際ランジェリー展」の取材を1987年から始め、年2回の定期的な海外取材は連続35年におよぶ。著書に、『鴨居羊子とその時代 ―下着を変えた女』(平凡社 ※絶版中)、『もう一つの衣服、ホームウエア ―家で着るアパレル史』(2021年、みすず書房)など。
※掲載品は2023年5月31日時点の取り扱い商品・価格です。商品の内容や価格は変更になる場合がございます。
※数量に限りがある商品もございますので、品切れの際はご容赦ください。
※予約販売となる商品もございます。
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