トラベル vol.1
緩やかな時を愉しむ、ココロとカラダを癒す旅


大沢さつき|トラベルジャーナリスト

今回のNAVIGATOR

大沢さつき
トラベルジャーナリスト

有名旅行雑誌「CREA Traveller」の海外記事を長年にわたり担当したトラベルジャーナリスト。海外での取材日数は年間180日以上に及ぶこともある。

大沢さつき

トラベルジャーナリスト

幼い頃から大好きだった海外旅行を仕事にし、現在も多くの国を訪れてその土地の歴史や文化を言葉にする旅行界屈指のジャーナリスト 大沢さつきさん。全3回の連載を通して、本物のラグジュアリーを知るための個性豊かな「体験」の旅についてお話しいただきます。

世界を飛び回る旅のスペシャリスト

海外が好きになったのは、15歳でイギリスのサマーキャンプへ行ったのがきっかけでした。その後大学在学中にコピーライターとして働き始め、卒業後はそのまま働いていた広告プロダクションに入社。制作の仕事は当時どこも超多忙でしたから、お約束通り3年目に体を壊して仕事を辞め、大好きなダイビングをするために1年かけて世界中の海をまわったんです。その後、ご縁があって日本文化に特化した雑誌『和楽』と旅行雑誌の『CREA Traveller』に声をかけていただき、今に至っています。海外取材はもちろん大変ですが、仕事でさまざまな場所に行けていいホテルに泊まれる!という楽しさの虜になり、そこから海外旅一筋になりました。

トラベルジャーナリストが教える“癒しの旅”3選

今回は、私がおすすめする“癒しの旅”について、ブータンやタイでの魅力的なスパからカナダの大自然にふれるグランピングまで、松坂屋旅行センター添乗員の近藤さんとの対談形式でご紹介します。

近藤 仁彦さん│松坂屋旅行センター

大学在学中にカリフォルニア州への渡米と欧州周遊を経験して入社し、ゴルフ売場を経て松坂屋旅行センターに配属。その後約30年以上にわたり旅行業務を担当する。主にツアー仕入れ、造成業務を行いながらお得意様とともに国内外を旅する添乗員であり、添乗日数は延べ2500日を超える。また世界遺産検定1級やクルーズコンサルタントの資格を取得し、日本の47都道府県に加え世界73か国など幅広いフィールドでお客様に旅をご紹介している。プライベートでは2005年の愛知万博を機に、自宅で世界各国の方々にホームステイボランティアを開始。愛知県に短期・長期留学で来日する学生たちのホストファミリーとして、家族で毎日日本外交を実践している。

|1|何もない幸福を味わう。
シックスセンシズ/ブータン

大沢さん(以下敬称略):ブータンという国には寺院巡りとトレッキングしかないと言われることもありますが、私はそれはすこし違うと思っていて。何もないからこそ、忙しい日常を忘れて時の余白を楽しめる場所なのだと感じています。近藤さんはブータンに行かれたことはありますか?

近藤さん(以下敬称略):お客様とご一緒したことがあります。確かに、日本とは違った文化の中で時間がゆっくりと流れているような印象を受けました。

©︎TabiOmo

大沢:そうですよね。ブータンでは「ブータンの伝統建築様式以外では建物を建てられない」など、文化や伝統を守るための法律が定められています。そうしたブータンならではの価値あるものが守れるのも、小規模の王国だからこそ。私は取材で行ったためさまざまなツアープランを見る機会があったのですが、「最後は標高3,000mにある世界遺産のタクツァン僧院までトレッキング」というのがどのプランにも組み込まれていたことには驚きました。実際に登りましたが雨が降っていたこともあり、ガイドさんにしがみつきながらのトレッキングとなりました(笑)

近藤:ふもとからタクツァン僧院までは約5時間もかかるので、よっぽどの健脚者でないと辛いですよね。しかしやはり登った人にしか分からない達成感があり、ゴールしたときには格別な気持ちになります。

大沢:スパはどちらかというとインドに近い施術でした。必ず最初にベルを鳴らしてマントラを唱えるのがお決まりです。

近藤:シックスセンシズはどこへ行ってもスパが大人気で、なかなか予約が取れません。そう思うと取材のお仕事は羨ましいです。

大沢:体験しなくても記事は書けるのですが、やはり体験するのとしないのでは記事にかける熱量みたいなものが変わってくるんですよね。取材旅行をする時には徹底的に予習して、予備知識を頭に入れた上で現地で感じることやその文化を吸収できるよう心がけています。

辺りにあるヨモギをとってきて、熱した石をドボンと大胆にいれるお風呂。発汗作用がすごいです。©︎TabiOmo

大沢:体験しなくても記事は書けるのですが、やはり体験するのとしないのでは記事にかける熱量みたいなものが変わってくるんですよね。取材旅行をする時には徹底的に予習して、予備知識を頭に入れた上で現地で感じることやその文化を吸収できるよう心がけています。

|2|上質なリラックスの世界へ。
トリサラ/タイ

近藤:僕はこちらのホテル「トリサラ」に泊まったことがなく、お話を聞けるのを楽しみにしていました。プーケットの空港から近いリゾートで、大沢さんのかなりのおすすめですよね!

大沢:そうなんです。約60棟のレジデンスもあり、広さは一軒家を越えるレベル。私が見学させてもらったお部屋は、ベッドルームが5〜6部屋と、プールが付いている大きなところでした。使っていない時には泊まりたい人に貸すこともできますし、みなさん一棟いかがでしょう?

©︎TabiOmo

大沢:そしてぜひ試して欲しいのが、3人がかりで施術してくれる「シックスハンズマッサージ」です。驚いたのは3人の呼吸がまったく同じだったこと。目をつむって受けると6本の手を持った巨人にマッサージされているようで、決して3人いるとは思えないんですよ。

近藤:まさにマリーアントワネットの世界ですね。これはここでしか受けられない施術だと思います。トリサラにはミシュラン星付きレストランがあるそうですが、いかがでしたか?

©︎TabiOmo

大沢:シェフがすごく真面目な青年でした。日本についてもよく勉強されていて、彼が日本に来た時に初めて食べた海ぶどうがタイでは捨てている食材だったので、「こんなおいしいものを捨てていたんだ」と感銘を受け、料理に取り入れるようになったそうです。トリサラではミシュランの「プル」というレストランが彼の担当で、もう一つタイ料理のレストランがあるんですが、タイの家庭料理が楽しめてそちらもすごく美味しいんですよ。

近藤:シェフの真摯な姿勢がお料理にも表れているんですね。どの国を訪れてもなかなか家庭料理を食べる機会はないので、タイ料理の方にもぜひ行ってみたいです。

大沢:お部屋まではカートで連れて行ってくれるのですが、ぶらぶら歩くのも心地いい。とにかくリラックスできる場所なので、近藤さんはお仕事以外で行かれるのがベストかもしれませんね。

プルのスペシャリテ「ザ・ニンジン」©︎TabiOmo

|3|圧倒的なスケール感が冒険心を掻き立てる。
クレヨコット・ウィルダネス・ロッジ/カナダ バンクーバー

大沢:「クレヨコット・ウィルダネス・ロッジ」は、バンクーバーから1時間弱の場所に位置するグランピング施設です。“5ツ星の大自然リゾート”をコンセプトに掲げていて、私が行った時にはGM(総支配人)に「熊が出るから絶対テントに食べ物を置かないで。もし出たら、俺が裸で鉄砲持って駆けつけるから叫んでくれ!」と言われたくらい自然と隣り合わせの場所で、海をふくめた広大な自然を丸ごと使っている大規模リゾートなんです。大自然の中で、心地よい太陽の光を浴びながらゆったりと過ごすことができます。

©︎TabiOmo

近藤:今、日本もグランピングブームですが、このスケール感はさすがカナダ。ここまでの解放感が得られる場所はなかなかないでしょうね。

大沢:アクティビティの一つに乗馬があるんですが、ホテルで飼育されている馬に揺られながら、いきなり柵も何もない森の中へ行くんです。それまでの私の乗馬体験はいわゆる狭い柵の中をぐるぐる回るものだったので、本当にエキサイティングな経験になりました。他にも綺麗な星空はもちろん、ゲームができるテントがあったり、ワインもおいしいですし、きちんとしたソムリエもいます。また、フィッシング・温泉・ホエールウォッチングにベアウォッチングなど、体験しきれないほどの充実したアクティビティを楽しむことができます。

©︎TabiOmo

大沢:私が訪れた当時は、ヘリコプターでしか行けない場所に、特別なテントスイートがありました。ベースキャンプからヘリで10分ほどの山の頂上にあって、寝室・ダイニング・スパの3つのテントがあるんです。スタッフは1組のお客様のためにシュラフで泊まり込むという、驚きのラグジュアリーさを備える究極の場所です。現在予約は受け付けていないようなのですが、再開されたら息を呑むような大自然の癒しをぜひ、体感していただきたいです。

©︎TabiOmo

松坂屋旅行センターが提案する、日本の癒しの旅

ここからは、近藤さんおすすめの日本国内の“癒しの旅”についてお伺いします。昨今の情勢によりそう個性豊かなアクティビティや、さらにラグジュアリーな「体験」を求める人々を満たす特別なプランをみてみましょう。

健康エンターテインメントリゾートへ。
ホテル シギラミラージュ/宮古島

近藤:健康の大切さが身に沁みる昨今。お客様に「リゾート×健康」というお金で買えない体験を取り入れていただくため、新しく旅を作りました。こちらのリゾート「シギラミラージュ」ではメディカルチェックができるフロアが完備されていて、紹介制レストランで名を馳せるスガラボの「レストランM」が入っているなど、健康だけでなく食も十分に楽しめるところもポイントです。

近藤:レストランは他にも中華・イタリアン・フレンチ・鉄板焼・シーフードなどその日の気分で楽しめますよ。

大沢:スガラボが入っているんですね!すごい。美味しいものがたくさんあると、メディカルチェックへのモチベーションもさらに高まりそうです。

「いいもの」だけにふれる贅沢。
アマネム/伊勢志摩

近藤:こちらは伊勢志摩国立公園の中に佇む、アマングループの中でも珍しい温泉リゾート「アマネム」です。お食事は伊勢神宮に奉納する御饌(みけ)を再現したお料理。伊勢名物松阪牛のすき焼きや伊勢海老も入っていて、お伊勢さんのたもとにあるホテルならではの文化が反映されています。

大沢:おせちみたいでかわいいです。これは海外の人に喜ばれますね。

近藤:そして、ぜひ体験していただきたい場所がもう一つあります。アマネムの対岸にある、ヘリコプターか船でしか行けない島のお寿司屋「鮨裕 禅」さんです。料理長はもといた湘南から伊勢に移られて、“いいものを提供したい”という思いで漁師として修行されたまさに職人。隔絶された世界の中に出かける経験を、アマネムと上質なリゾートとして体験してみてはいかがでしょうか?

1日1組のお客様をおもてなしする、会員制鮨屋「鮨裕 禅」

今回は、旅のスペシャリストならではの“癒しの旅”をご紹介しました。“久しぶりの旅行に、どんな場所を選ぼう?”と旅のイメージが浮かんできましたか?次回は北半球から南半球までを網羅し、美しい眺めに出会う絶景トラベルをご紹介します。お楽しみに。



次回は10月下旬の更新を予定しています。


松坂屋旅行センター RENEWAL OPEN

2022年7月6日(水)、松坂屋名古屋店の旅行センターがリニューアルしました。これまでに比べ店内を明るく改装し、気軽に足を運びやすい空間へ。ご提案する旅のラインアップはよりラグジュアリーで、希少価値の高いものにも焦点をあて、旅の本来の目的である「体験する喜び」を心から感じられるプランへとアップデートいたします。皆様のお越しをお待ちしております。

※松坂屋旅行センターでは、お客様に安心して旅をお楽しみいただくため、海外・国内旅行における新型コロナウイルス感染症に関するトラブルへの対応など、さまざまなサポート体制を備えております。

北館GENTA5階 お得意様サロン入口に設置した「番号カード発行機」で「旅行センター」ボタンを押してお待ちください。旅行センタースタッフがお迎えにあがります。

【お問い合わせ先】
松坂屋名古屋店 北館GENTA5階 旅行センター
電話:052-264-3911(直通) ※営業時間:10時~18時
松坂屋旅行センター  https://travel.matsuzakaya.co.jp/nagoya/

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大沢 さつき SATSUKI OHSAWA

大学在学中から広告プロダクションでコピーライターとしてキャリアを重ね独立。『FIGARO Japon』のファッションページ、また日本文化の魅力を伝える雑誌『和楽』での経験を元に、『CREA Traveller』にて海外を中心とした特集を6年間にわたり担当する。世界史やスキューバダイビングを愛し、多彩な経験を背景として生み出す記事が多くの読者を「旅好き」にする旅のスペシャリスト。自身のウェブサイト「旅オモ」では、過去に訪れた世界中の取材先でのこぼれ話や、独自に厳選した良質な海外情報などトラベルライターならではの知識が詰まった記事を掲載中。近年はアフリカや中東が気になっており、いま一番行きたい国はオマーンとナミブ砂漠。 旅オモ https://tabi-travell.com

※掲載品は2022年9月30日時点の取り扱い商品・価格です。商品の内容や価格は変更になる場合がございます。
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