トラベル vol.2
世界の美しい絶景にふれて、非日常を体験する旅へ


大沢さつき|トラベルジャーナリスト

今回のNAVIGATOR

大沢さつき
トラベルジャーナリスト

有名旅行雑誌「CREA Traveller」の海外記事を長年にわたり担当したトラベルジャーナリスト。海外での取材日数は年間180日以上に及ぶこともある。

大沢さつき

トラベルジャーナリスト

幼い頃から大好きだった海外旅行を仕事にし、現在も多くの国を訪れてその土地の歴史や文化を言葉にする旅行界屈指のジャーナリスト 大沢さつきさん。全3回の連載を通して、本物のラグジュアリーを知るための個性豊かな「体験」の旅についてお話しいただきます。

トラベルジャーナリストが教える“絶景の旅”3選

せっかく世界を旅するのなら、その土地に息づく「空気」を感じたい!と思いませんか?海外旅行でのさまざまな体験は、私たちが持っている凝り固まった常識をやさしくほどき、時には価値観を大きく変えてくれます。今回は私がおすすめする「絶景の旅」を前回に引き続き、松坂屋旅行センター添乗員の近藤さんとの対談形式でご紹介。アフリカ南部のカラハリ砂漠から、スペインのサグラダファミリア、イスラエルのエルサレムまで、人生で一度は目にしたい世界の絶景をお届けします。

近藤 仁彦さん│松坂屋旅行センター

大学在学中にカリフォルニア州への渡米と欧州周遊を経験して入社し、ゴルフ売場を経て松坂屋旅行センターに配属。その後約30年以上にわたり旅行業務を担当する。主にツアー仕入れ、造成業務を行いながらお得意様とともに国内外を旅する添乗員であり、添乗日数は延べ2500日を超える。また世界遺産検定1級やクルーズコンサルタントの資格を取得し、日本の47都道府県に加え世界73か国など幅広いフィールドでお客様に旅をご紹介している。プライベートでは2005年の愛知万博を機に、自宅で世界各国の方々にホームステイボランティアを開始。愛知県に短期・長期留学で来日する学生たちのホストファミリーとして、家族で毎日日本外交を実践している。

|1|動物たちの鳴き声を聴き、満天の星空の下で眠る。
カラハリ砂漠/ボツワナ

屋上部分にマットレスを敷いて、オープンエアで寝ることができる ©TabiOmo

大沢:広大なカラハリ砂漠は、野生のライオンやチーターなど、あらゆる希少動物に出会える場所。そのど真ん中にあるキャンプ「カラハリ・プレインズ」には、ルーフバルコニーにスターベッドと呼ばれるベッドがあります。コテージの外階段を上がると、腰の高さほどの柵に囲まれたベッドが設置されているのですが、鍵は「一応ある」という程度のもので、簡単に開きます。“ライオンが来たら飛び越えて全然入れちゃうんですけど!”という感じで、思わず笑っちゃいました。

近藤:スターベッドはちょっとドキドキするところも含めて、貴重な体験ができますよね。

©TabiOmo

大沢:満天の星空を見られる名所は世界中にありますが、ここでは、その星空を仰ぎながら夜行性の動物たちの唸り声や鳴き声の大合唱を聴き、一夜を過ごすことができます。この日は長時間の移動でヘトヘトだったはずなのに、興奮して一睡もできませんでした。

近藤:辺りには何もないので静寂の中に鳴き声がより響いて、本当に非日常的な場所ですよね。

大沢:そんな夜が明け、朝になると今度はなんとライオンと対面することに。早朝からサファリへ出かけるんですが、私が起きていくとダイニングの空気がなんだか違って。
下の画像を見てお分かりいただけるように、ライオンが水を飲みに来ていたんです。宿泊客はみんな驚いた顔をしていたし、私もすごくびっくりして、貴重な体験でした。

ライオンとテーブルとの距離はわずか5メートルほど! ©TabiOmo

近藤:これはかなり近いですね!目を疑うような光景です。

大沢:また、ボツワナではカラハリ・プレインズの他に5カ所のキャンプに行きました。2カ所目のブンブラ・プレインズでは5〜60キロ先から聞こえてくるライオンの「ガオー」という咆哮を聴き、ライオンが獲物を食べているところを目撃することができましたし、最後に訪れたデュマ・タウでは、ゆったりと沈んでいく夕陽が水辺に反射する美しい光景を目の当たりにしました。非日常的な場所に足を運び、動物たちの営みにふれ、心も体も充実した旅となりました。ボツワナは絶対に再訪したい場所ですね!

|2|歴史的建造物を、特別なホテルから眺める。
サグラダファミリア/スペイン

大沢:こちらのホテル「ガウディズ ネスト」の窓から見えるサグラダファミリア「生誕の門」の夜景には言葉を失います。サグラダファミリアのみならず、カサ・ミラなど数多くの歴史的建築があるアシャンプラ地区には、新しくホテルを建てられないことが法律で決まっているため、この絶景はここでしか味わえません。

©TabiOmo

近藤:これはいいですね!実は、私の娘がこちらへ泊まったことがあるんですが「これどこから撮ったと思う?」って誇らしげに話してくれた記憶があります。

大沢:本当に素敵ですよね。このホテルにはレストランがなく、元はAirbnbに出ていた2つ星クラスのホテルなのですが、キッチンも洗濯機もついていてこの圧巻の景色が見られて。泊まる分には不自由ないお部屋です。

©TabiOmo

近藤さんがお客様をアテンドされるならぜひこの部屋をキープいただいて、ここからサグラダファミリアを見ながら、3つ星レストランのディナーを食べるのが最高だと思います。そして、その迫力は眩しすぎて寝れないほど!実は私が泊まった日は土砂降りで、稲光が走っていて迫力がありました。

©TabiOmo

近藤:バルセロナは比較的乾燥した地域ですから、雨が降るのは珍しいですね。大沢さんは有名雑誌で活躍されている方ですから、この企画をされるにあたって実はもっとハイクラスのホテルを出されるかと思っていたんです。なのでこのホテルを持ってくるなんて!と驚きました。ここでしか見られない景色を体験するという、真のラグジュアリーを理解されていて、本当に旅行が好きな方だと実感しました。


©TabiOmo

大沢:やはり旅の醍醐味はその土地ならではの体験だと感じています。この景色のために、次もまたこのホテルに泊まりたいです。

近藤:添乗員の豆知識としては、この近辺へ行かれる方はさまざまな施設にきちんと予約をしてから足を運ばれることをおすすめします!現地で入場するのはなかなか狭き門で、昨今の情勢により入場制限がかかっている場合もありますので、ご注意くださいね。

|3|歴史の重みを肌で感じる。
エルサレムと死海へ続く土漠の道/イスラエル

©TabiOmo

大沢:ユダヤ教、キリスト教、イスラム教という3大宗教の聖地であるエルサレムですが、嘆きの壁と岩のドームの対比には、言葉を失いました。嘆きの壁の歴史を少しお話しすると、紀元70年にローマ軍に破壊された際、唯一残った神殿の西壁に、ユダヤの人たちが額をあて、都の滅亡と破壊を嘆き復興を祈るようになったとか。かたやイスラムの聖地であり、黄金色に光る岩のドームは、ムハンマドが天へと旅立った場所とされています。

近藤:大沢さんがここに行かれたということが本当に羨ましいです。個人的に政治に関心があり、ぜひお話を伺いたいと思っていました。

大沢:イスラエルに着いてから、はじめに聖墳墓教会に行きました。私は中学から大学までミッションスクールに通っていたので、思い入れがあったんです。しかしキリスト教の聖地にもかかわらず、それぞれの宗派はあまり仲がよくないみたいで。なので聖墳墓教会の入口の鍵はアラブ人が持ってるんですって。面白いですよね。私はテンプル騎士団が好きなのですが、エルサレムはゆかりのある場所。ひとたび足を踏み入れると、歴史の重みが他の場所とは全然違うことが肌で分かりました。また、嘆きの壁は女性と男性で別の壁があることも、現地に行って初めて知りました。

近藤:さまざまな思いが渦巻く嘆きの壁を目の当たりにすると、一言では言い表せない複雑な感情になりますよね。

©TabiOmo

大沢:その後には死海へ足を運ぶことに。すごく綺麗なのに、やっぱり時が止まっているような空気が流れていて。死海に向かう道のりの土漠の茫漠たる景色を見た時も、他の国では決して味わうことのない思いに駆られました。
イスラエルは少し危ない場所だと思われる方もいますが、現地に暮らす彼らはとても知的な人々です。

近藤:エキセントリックな歴史を持つ国なので、そういった部分が日本との違いとして捉えられることも多いですね。

大沢:実際に行ってみるとご飯もワインもおいしいですし、フレンドリーな方も多いです。歴史を勉強して行けば、さまざまな宗教観や現地での生活を肌で感じられる貴重な旅になるでしょう。

©TabiOmo

松坂屋旅行センターが提案する絶景の旅

ここからは、近藤さんおすすめの“絶景の旅”についてお伺いします。場所ごとにさまざまなストーリーをもつ、特別なプランをみてみましょう。


海に囲まれた開放感を全身で味わう。
五島リトリート ray/五島列島

近藤:こちらは8月30日に五島列島に開業したばかりの最新ホテルです。日光を取り入れて開放感をデザインすること、地元のスタッフを活躍させることに重点を置いたホテルになっています。一番の魅力は、絶景オーシャンビューを見ながらお部屋のお風呂に入れること。五島の海の幸や五島牛のすき焼きを楽しみながら味わえます。

大沢:島の空気や風景は本当に気持ちいいですよね。開放感に身を委ねて、落ち着いた時間が過ごせそうです。



雄大な自然に囲まれて、湯に浸かる贅沢を。
楽 水山/北海道
雄大な自然に囲まれて、湯に浸かる贅沢を。
楽 水山/北海道

近藤:こちらは名だたるホテルが点在する北海道のニセコにオープンした純日本製のホテルです。新日本海フェリーのオーナーが造っただけあって、港のことを知り尽くしたシェフの絶品料理を楽しめます。お部屋とロビーから見えるのは、北海道の富士山と呼ばれる羊蹄山。それぞれのお部屋にある半露天風呂でゆったりと美しい眺めをお楽しみいただけます。

大沢:日本ならではの海の幸、山の幸が味わえるのはいいですね。




天空から眺める、新しい観光の形。
ヘリコプター観光/吉野桜・嵐山の紅葉など
天空から眺める、新しい観光の形。
ヘリコプター観光/吉野桜・嵐山の紅葉など

近藤:昨年より、ヘリコプターから桜や紅葉を見るというこれまでとは一味違う企画を始めています。観桜会から始まり、嵐山の紅葉、五山の送り火などを天空から楽しむという新しいスタイルの観光をご提案しています。

大沢:まさに錦絵ですね。密を避けられて、新しい体験ができることに魅力を感じます。

近藤:京都では金閣寺の横にヘリポートがあり、紅葉の時期には上空から降りてくる時に金閣寺の金色屋根の周りが真っ赤に紅葉しているのが見えるんですよ。



和やかな雰囲気の中で、音楽を愛でるようにくつろぐ。
ロフトフスホテル/ノルウェー

©ULLENSVANG HOTEL

和やかな雰囲気の中で、音楽を愛でるようにくつろぐ。
ロフトフスホテル/ノルウェー

近藤:最後にご紹介するのは、客室から見るフィヨルドが絶景の1800年代に建てられたホテルです。この場所で作曲家のグリーグがペールギュント組曲「朝」を作ったことでも有名で、その後ノルウェー王室御用達のホテルとなりました。ユネスコの世界遺産であるフィヨルドの上に建っていることもあり、とても貴重なホテルです。

ここには個人的に思い入れがありまして、私の大切なお客様の最後の旅になった場所なんです。「家内と最後の思い出を作りたい」と相談にいらして、音楽と大自然が好きな方でしたのでご提案したのがこのホテル。強く印象に残っているのは、フィヨルドを背景にご夫妻の写真を撮ったときのことでした。ご主人も奥さんもすごく感動されて、一生の思い出になるとおっしゃって。この仕事をしていて良かったと思いました。

大沢:それは思い出深いですね。北欧の落ち着いた空気感も素晴らしいです。旅のプロに手作りの旅を提案いただけると、お客様は本当に嬉しいですね。

近藤:最近はそういったオーダーメイドの旅が増えています。僕が大沢さんの書かれた記事をくまなく拝見させていただいているのは、お客様がよく読まれていて、記事をもとに旅のご相談をいただくことが多いというのもひとつの理由なんです。

大沢:旅好きの方は旅行雑誌を読み込まれてますよね。記事に取材で泊まった部屋番号を掲載すると、その番号を指定されて泊まる方もいるみたいで。

近藤:それはよくありますね。僕たち旅行センターは「お客さんに喜んでもらえることを一番に」ということをずっと求めてきたので、オーダーメイドの旅を作るのはやりがいを感じます。

大沢:旅慣れた方はその素敵な理念をきっと見抜かれますよ。これからの旅はますますラグジュアリーなものへと変化する予感がしているので、近藤さんのように、そういった世界を分かっておもしろい場所へ導いてくださる添乗員さんがこれからも増えるといいですね。


今回は、旅のスペシャリストならではの“絶景の旅”をご紹介しました。世界中の美しい景色とそれぞれの土地に息づく「空気」を感じていただけたでしょうか?今回の連載を通して、新しい「冒険」のきっかけを見つけていただけたら嬉しいです。



松坂屋旅行センター RENEWAL OPEN

2022年7月6日(水)、松坂屋名古屋店の旅行センターがリニューアルしました。これまでに比べ店内を明るく改装し、気軽に足を運びやすい空間へ。ご提案する旅のラインアップはよりラグジュアリーで、希少価値の高いものにも焦点をあて、旅の本来の目的である「体験する喜び」を心から感じられるプランへとアップデートいたします。皆様のお越しをお待ちしております。

※松坂屋旅行センターでは、お客様に安心して旅をお楽しみいただくため、海外・国内旅行における新型コロナウイルス感染症に関するトラブルへの対応など、さまざまなサポート体制を備えております。

北館GENTA5階 お得意様サロン入口に設置した「番号カード発行機」で「旅行センター」ボタンを押してお待ちください。旅行センタースタッフがお迎えにあがります。

【お問い合わせ先】
松坂屋名古屋店 北館GENTA5階 旅行センター
電話:052-264-3911(直通) ※営業時間:10時~18時
松坂屋旅行センター  https://travel.matsuzakaya.co.jp/nagoya/

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大沢 さつき SATSUKI OHSAWA

大学在学中から広告プロダクションでコピーライターとしてキャリアを重ね独立。『FIGARO Japon』のファッションページ、また日本文化の魅力を伝える雑誌『和楽』での経験を元に、『CREA Traveller』にて海外を中心とした特集を6年間にわたり担当する。世界史やスキューバダイビングを愛し、多彩な経験を背景として生み出す記事が多くの読者を「旅好き」にする旅のスペシャリスト。自身のウェブサイト「旅オモ」では、過去に訪れた世界中の取材先でのこぼれ話や、独自に厳選した良質な海外情報などトラベルライターならではの知識が詰まった記事を掲載中。近年はアフリカや中東が気になっており、いま一番行きたい国はオマーンとナミブ砂漠。 旅オモ https://tabi-travell.com

※掲載品は2022年10月28日時点の取り扱い商品・価格です。商品の内容や価格は変更になる場合がございます。
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※予約販売となる商品もございます。
※アレルギー等、商品の詳細は扱い売場にお問い合わせください。
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