トラベル vol.3
味覚から世界を知る、冒険の旅へ出かけよう
大沢さつき|トラベルジャーナリスト
今回のNAVIGATOR
大沢さつき
|トラベルジャーナリスト
有名旅行雑誌「CREA Traveller」の海外記事を長年にわたり担当したトラベルジャーナリスト。海外での取材日数は年間180日以上に及ぶこともある。
トラベルジャーナリスト
トラベルジャーナリストが教える“極上ホテルと美食の旅”
旅行先を選ぶときに、おいしい料理を軸に目的地を選んでみるのはいかがでしょうか?有名なミシュランガイドをはじめ、おいしさを追求する一流のシェフは、世界各地で腕を磨き続けています。今回は私がおすすめする「極上ホテルと美食の旅」を前回、前々回に引き続き、松坂屋旅行センター添乗員の近藤さんとの対談形式でご紹介。標高6000mの高所でいただくシンプルで奥深いペルー料理や、モンテカルロの華やかな空気の中で味わう個性豊かな料理の数々など、一度は叶えたい世界のレストラン体験をお届けします。
近藤 仁彦さん│松坂屋旅行センター
大学在学中にカリフォルニア州への渡米と欧州周遊を経験して入社し、ゴルフ売場を経て松坂屋旅行センターに配属。その後約30年以上にわたり旅行業務を担当する。主にツアー仕入れ、造成業務を行いながらお得意様とともに国内外を旅する添乗員であり、添乗日数は延べ2500日を超える。また世界遺産検定1級やクルーズコンサルタントの資格を取得し、日本の47都道府県に加え世界73か国など幅広いフィールドでお客様に旅をご紹介している。プライベートでは2005年の愛知万博を機に、自宅で世界各国の方々にホームステイボランティアを開始。愛知県に短期・長期留学で来日する学生たちのホストファミリーとして、家族で毎日日本外交を実践している。
|1|インカの真髄、ペルー料理を堪能 アレキパからチチカカ湖への美食旅
大沢:近年、世界中の美食家の注目を集めているペルー料理。お味は素材を生かしたものが多くあっさりとしているので、実は日本人の口にもよく合うんです。豪華寝台列車であるアンデアン・エクスプローラー号では、ペルーの山々を車窓から眺めながらペルー料理を楽しむことができます。
大沢:シェフのディエゴ・ムニョスは、伝説のレストラン「エル・ブジ」や「ムガリッツ」で修業を積み、ペルーの国民的シェフであるガストン・アクリオを支えていたことでも知られる凄腕。車内では彼のアイデアを反映し、列車の通行ルートで採れる野菜を取り入れた料理をいただけます。
近藤:ペルー料理が車内で食べられるのはここならではですね。大沢さんは、いつ頃この取材に行かれたのですか?
大沢:私が訪れたのは、2017年のアンデアン・エクスプローラー号就航記念のプレスツアーの時ですね。当時はディエゴがツアーに同行して、すべての料理を紹介してくれました。客室のほかに食堂車両が2両あり、最近はスパ車両もできたそう。チチカカ湖からの行程では、標高6000mほどの高所を走ります。
近藤:就航時に行かれたのですね!うらやましいなあ。
大沢:また、列車の旅とは別の機会でしたが、チチカカ湖ではホテル「ティティラカ」に泊まったこともあります。ここは三方が湖に囲まれていて、すべてのお部屋から湖が見えるんです!ペルー人が経営しているので、ローカルな雰囲気を味わえるのも魅力。食事ももちろんペルー人の女性シェフが担当されていて、こちらもとってもおいしいです。
近藤:ゆったりとした特別な時間が過ごせそうですね。ちなみに、ペルーのおすすめの巡り方があれば伺いたいです。
大沢:私のおすすめの旅程は、ペルーの首都リマに店を構え「世界のベストレストラン50」で今年2位になったレストラン「セントラル」でペルー料理を最初(または最後)に食べて、そのあとチチカカ湖畔のプーノまで飛行機で飛んで、ご紹介したホテル「ティティラカ」に泊まる。チチカカ湖を楽しんだら、アンデアン・エクスプローラー号に乗車してクスコまで移動。クスコはインカ帝国の元首都で、おいしいレストランがたくさんあります。そして今度は別の列車「ハイラム
ビンガム号」に乗って、マチュピチュに行くというプランです。このプランを制覇されるとおいしいものをたくさん食べつつ秘境にも行けちゃいますよ。
ただ、一つ気をつけたいのは高山病!個人的には頭が痛くなったら、早めにお薬を飲むのが正解だと思います。私もつらい思いをしました…。
近藤:異国の地に行くと、どうしてもアクティブに動いてしまうので、無理をしすぎないことは大切ですね。中南米はまだ日本人旅行者が少ない地域ですから、皆様にぜひトライしていただきたいです。
|2|一流シェフたちがしのぎを削る 南仏・モンテカルロの美食旅
マントンにあるレストラン「ミラズール」
マントンにあるレストラン「ミラズール」
大沢:シンプルな店内のテラス席は海に臨み、心地よい開放感を味わえるレストラン「ミラズール」。ここは2019年にミシュラン3つ星を獲得しています。私は1つ星、2つ星を獲得した時に2度伺ったのですが、シェフであるマウロ・コラグレコの人柄が可愛くて、とても癒されました。彼はイタリア系アルゼンチン人でありながら、フランスに店を構え、スペイン語を話すという多様なルーツを持っている人。そのため、いろんな感性が料理にミックスされているんです。
近藤:多彩なアイデンティティを持つことで、料理の面でもいろんな味が引き出せるんですね。
大沢:ミラズールに行かれるなら、彼の世界観を反映している畑にもぜひ行ってみてください。予約すればお野菜やバジルをその場で採ってくれて、新鮮な野菜を試食させてくれますよ。
オテル・エルミタージュ内のレストラン「パヴィヨン モンテカルロ」
オテル・エルミタージュ内のレストラン「パヴィヨン モンテカルロ」
大沢:今一番脂の乗っているフランス人シェフ ヤニック・アレノ監修のレストラン「パヴィヨン モンテカルロ」。こちらは、モナコの歴史あるホテル「ロテル・ド・パリ」の姉妹ホテルである「オテル・エルミタージュ」内にあります。
ヤニック・アレノのお料理といえばこだわり抜かれたソースが有名。しかし昨今彼が注目を浴びている大きな理由は、フランス料理の父と言われたエスコフィエを代表とするフレンチの伝統を、抽出液や調理温度を駆使した新しい技術で、現代人の舌にマッチしたものに昇華させたというところなんです。
大沢:ここは1つ星なので、カジュアルさを楽しめるのもいいところです。
近藤:僕はまだこちらのお料理を食べていないんですが、行かれたお客様からはかなり評価が高かったです!
ホテル「ロテル・ド・パリ」内のレストラン「ルイ・キャーンズ アラン・デュカス」
ホテル「ロテル・ド・パリ」内のレストラン「ルイ・キャーンズ アラン・デュカス」
大沢:こちらは、先ほどご紹介した姉妹ホテル「オテル・エルミタージュ」の隣に位置する、「ロテル・ド・パリ」内のメインダイニング「ルイ・キャーンズ」です。現在のシェフは、2022年の6月に就任したエマニュエル・ピロン。私は取材で2度伺ったことがあるんですが、やっぱりグランメゾンだなと感じる場所ですね。
特に驚いたのはサービスに入ってくるウェイターの歩くスピードが全員一緒で、きれいに円を描くように回っていたこと。さすがエレガンスの国ですよね。個人的には、「あの美しい振る舞いを見ずして、ルイ・キャーンズは語れない!」と思ったほど。
大沢:私が訪れた時からシェフが替わっているため、味については今お話しできませんが、間違いなく超一流のサービスを体感できます。
近藤:人の演出が恐ろしいほど細やかですよね。テーブルと人の距離感や、サービスする時のタイミング、お水、ワイン。すべてのタイミングがパーフェクト。このレベルのサービスは、パリの他の3つ星レストランでも味わえないほどです。
僕がお客様にこちらをご案内したときは、松坂屋でご購入いただいたお衣装をお試しいただける場にもなりました。女性4人で華やかな着物をお召しになっていたので、シェフやスタッフが厨房から出てきて、「一緒に写真を撮りたい!」と注目されました。
大沢:こちらは天井が高いので映えますよね。お料理の雰囲気はもちろん、建築や空気感に対しても、ご紹介した「ミラズール」、「パヴィヨン モンテカルロ」、「ルイ・キャーンズ」はそれぞれ色が違って面白いです。モンテカルロの中で3つのテイストが味わえると、かなり旅を楽しんでいただけるんじゃないかと思います。
松坂屋旅行センター 美食の宿
ここからは、近藤さんおすすめの日本国内の“美食の宿”についてお伺いします。楽しい食事体験を演出するための、日本ならではの細やかな気遣いが光る特別なプランをみてみましょう。
お客様に寄り添う、一流のおもてなし。
柳生の庄(伊豆修善寺温泉)
お客様に寄り添う、一流のおもてなし。
柳生の庄(伊豆修善寺温泉)
近藤:こちらは全15室の小さなお宿です。お食事のスタートは、玄関に入った時のお香の匂いから。お食事が始まってからも、胸焼けや胃もたれ、お腹がいっぱいで疲れてしまうということがないんです。お部屋は源泉掛け流しの露天風呂付きで、ゆっくりしていただくにはもってこいの場所。外国の方にもファンが多く、英語とスペイン語にも対応可能のお宿になっています。
大沢:雑誌「和楽」で記事を書いていた時によく伊豆へ取材に行きましたが、やっぱり一流のお宿は取材陣への態度も違います。根本がしっかりされていることが、お客様へのおもてなしにも表れるんでしょうね。
日本の四季を五感で感じる。
半水盧(長崎雲仙温泉)
日本の四季を五感で感じる。
半水盧(長崎雲仙温泉)
近藤:こちらは長崎県の雲仙にある全12部屋のお宿です。橋田壽賀子先生の「渡る世間は鬼ばかり」というドラマの舞台になった場所でもあります。お料理は京都の老舗料亭出身の方が歴代で料理長を務める京懐石。盛り付けの美しさと、日本料理の中でもインスピレーションを与えるお料理が特徴です。
また、この辺りは松茸の産地でもありますから、秋には松茸ご飯や焼き松茸などの松茸づくしを堪能することも可能です。こういったものを出してくださることもあり、特にお薦めなのは秋ですね。
大沢:おいしそう。思わずため息が出てしまいます。
トラベルジャーナリストが考える、旅の醍醐味
大沢:私が感じている旅の魅力は、思いっきり冒険ができるところ。ツアーなどで決められた行程を周るのもいいですが、個人的には自分でその土地を学んだうえで、ここに行こう、こんなことをしようと決める旅も好きなんです。時々直面するハプニングも旅の良さだと感じます。
近藤:僕も最近、お客様に「石橋を叩いて渡る旅はやめましょう」と提案しているんです。お客様と一緒に旅程を考えるオーダーメイド旅行がおすすめです。
大沢さんはトラベルジャーナリストとして若い頃から冒険をされて、いつもすごい経験をされていますよね。
大沢:本当に恵まれた仕事だと感じます。もちろん、英語が話せるに越したことはありませんが、最終的にはコミュニケーションって言語を越えるんですよ。怒った、お腹が空いたなどは、ジェスチャーや表情でも伝わる。それを恐れないで進むのが「冒険」なんです。冒険へのハードルを下げるために語学について一つお伝えすると、今はインターネット上での翻訳機能の質がかなり良くなっているので、そちらもぜひ活用してほしいです。
近藤:そうですね。老若男女問わず「冒険したい」と思う気持ちを大切にすると、旅がより充実したものになるかもしれません。
今回は、旅のスペシャリストならではの“美食の旅”をご紹介しました。世界一高い場所でのペルー料理や、モンテカルロの美しい海のそばにある一流レストランの数々など、食事という枠組みを超えた旅としての体験の価値を感じていただけたでしょうか?3回の連載を通して、新しい「冒険」のきっかけを見つけていただけたら嬉しいです。
松坂屋旅行センターのご案内
松坂屋名古屋店の旅行センターでは、ラグジュアリーで希少価値の高い体験に焦点をあて、旅をする喜びを心から感じられるプランを多数ご用意しております。また、お客様との会話を通じてお気持ちに寄り添い、お一人おひとりのご希望を反映した旅をご提案いたします。皆様のお越しをお待ちしております。
※松坂屋旅行センターでは、お客様に安心して旅をお楽しみいただくため、海外・国内旅行における新型コロナウイルス感染症に関するトラブルへの対応など、さまざまなサポート体制を備えております。
【お問い合わせ先】
松坂屋名古屋店 北館GENTA5階 旅行センター
電話:052-264-3911(直通) ※営業時間:10時~18時
松坂屋旅行センター https://travel.matsuzakaya.co.jp/nagoya/
大沢 さつき SATSUKI OHSAWA
大学在学中から広告プロダクションでコピーライターとしてキャリアを重ね独立。『FIGARO Japon』のファッションページ、また日本文化の魅力を伝える雑誌『和楽』での経験を元に、『CREA Traveller』にて海外を中心とした特集を6年間にわたり担当する。世界史やスキューバダイビングを愛し、多彩な経験を背景として生み出す記事が多くの読者を「旅好き」にする旅のスペシャリスト。自身のウェブサイト「旅オモ」では、過去に訪れた世界中の取材先でのこぼれ話や、独自に厳選した良質な海外情報などトラベルライターならではの知識が詰まった記事を掲載中。近年はアフリカや中東が気になっており、いま一番行きたい国はオマーンとナミブ砂漠。 旅オモ https://tabi-travell.com
※掲載品は2022年11月29日時点の取り扱い商品・価格です。商品の内容や価格は変更になる場合がございます。
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※アレルギー等、商品の詳細は扱い売場にお問い合わせください。
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