ファインアートコレクション|松坂屋名古屋店
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15「暁富士」 額装・紙本・共シール 33.3×53.0cm東美鑑定評価機構鑑定証書 「衿掛け」 額装・紙本・共箱 53.5×57.5cm東美鑑定評価機構鑑定証書 伊東深水 (1898~1972)縫い物、とは昨今あまり耳にしなくなった言葉であるが、深水は針仕事をする女性の姿をしばしば作品にしている。名都美術館所蔵で「縫い針」という、本作と同じく歯で糸を切ろうとする女性像の作品があり、またほぼ同じ構図で画題を違えた作品が、深水没後30年の展覧会に出品されてもいる。落款の朱も含めて、赤系の色が画中で響きあいながら、帯の青が眼を惹き、画面に締りを与える効果を生んでいる。横山 操 (1920~1973)赤富士は横山操の代名詞的モチーフである。2千点以上描いたといわれる富士について、「その威厳と神秘は、八の字型の稜線の中に日本人の簡潔、淡白、潔癖さと清純さがいりまじって、日本人の血脈にある精神的形象の極みだろう」と語っている。1962年、所属する青龍社脱退の前後から作例が増え、屹然とそびえる独立峰に、孤独な自身の姿を投影する思いもあったであろうか。

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