ファインアートコレクション|松坂屋名古屋店
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16「朝の光」 額装・絹本・共箱 46.2×61.2cm東美鑑定評価機構鑑定証書 「夕月」 軸装・紙本・共箱 48.2×60.1cm東美鑑定評価機構鑑定証書 髙山辰雄 (1912~2007)「朝の光」、と題された本作は富士を描いているが、画家の興味は形としての富士そのものには存在しないかのようである。あえて写生をそのまま活かすことをせず、自身の抱くイメージのみを具現化させたかの如く、心象的な風景画を多く手がけた髙山ならではの富士と言えよう。川合玉堂 (1873~1957)当初絵を学んだ京都から橋本雅邦門下に移った翌年、23歳の時に玉堂は初めて奥多摩を訪れており、それから山梨や群馬などにも取材地が広がった。本作の取材地は詳らかでないが、玉堂の作品はいわゆる名所絵とは異なり、見るものがそれぞれ心に留める風景と重ね合わせて鑑賞することができる。手をつなぐ親子の姿が微笑ましく、墨の濃淡だけで表される山肌など技法的な面からも楽しめる。

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