ファインアートコレクション|松坂屋名古屋店
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26荻須高徳 (1901~1986)本作は荻須30代半ばの制作。旅行者、放浪者としての眼でなく、生活者として現地で制作を行う地に足のついた感覚こそが、荻須作品に漂う安定感の所以であろう。美校の先輩・佐伯祐三との対比はよく語られるところであるが、美代子夫人によると、志半ばで早逝した仲間たちを間近で見ていたため、荻須自身は食事や体を動かすことなど日ごろかなり気を配っていたという。屋外でのスケッチもアトリエでの制作も立ったまま行っていた荻須、健康への配慮も後世に残る作品群の源泉であった。「ポルト・ド・クリシー」 20号 1935〜37年荻須恵美子鑑定書

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