ファインアートコレクション|松坂屋名古屋店
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38浮世絵版画「雪月花」は四季折々の自然の風物の中で、もっとも雅趣あるものの総称。限定的には春の桜、秋の月、冬の雪をいい、日本人の風雅の心の根幹を形成するとともに象徴的素材としての美的生活を支える基盤となってきた。日本の伝統的な画題にもなっている。「東海道五十三次(保永堂版)蒲原」 23.9×37.9cm1833~34(天保4~5)年頃「雪月花 吉野」 24.8×38.0cm1832~33(天保3~4)年頃「三枚続 信州田毎の月」 37.1×25.6cm1861(文久元)年歌川広重 (1797~1858)・三代豊国 (1786~1865)田毎の月は、傾斜地に作られた棚田に映る月のこと。長野盆地の姨捨山を中心とする更科の地が田毎の月の名所となっていて、名月を見る場所として古くから親しまれている。人物を三代豊国、背景を広重が描いた当代人気絵師のコラボレーション作品。葛飾北斎 (1760~1849)吉野山は古くから花の名所として知られており、中でも桜は神木として崇められている。また歌舞伎「義経千本桜」の舞台にもなり、江戸の人々にもよく知られていた。歌川広重 (1797~1858)広重の画業を代表する逸品。濃墨と薄墨の見事な調子によって、更けていく雪の夜の静けさと雪明りを表現している。

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