複雑機構を極めた
ブレゲによる記念碑的名作

文/森下隆太
2021/6/10

BREGUET

クラシック トゥールビヨン
エクストラフラット オートマティック 5377

極薄トゥールビヨンを搭載した、
珠玉のアートピース

「時計の歴史を200年早めた」。これはブレゲを語る際によく聞かれる言葉です。ブレゲは、発明家でもあった時計技師アブラアン=ルイ・ブレゲによって、1775年に創業した老舗中の老舗。フランス王妃マリー・アントワネットにも愛された時計メーカーであり、現代の腕時計に欠かせない機構を次々と生み出しました。また、ブレゲといえば複雑機構のひとつ「トゥールビヨン」の発明でも有名です。これは重力によって時差が起きないようにする機構で、部品数が多くなり、また各パーツも精巧さが求められるゆえ、最高級機械式時計の代名詞となっています。

今回ピックアップしたモデルは、ブレゲが培ってきた技術の賜物ともいえる逸品。1972年に生まれた「クラシック」コレクションの記念碑的傑作です。なんと厚さ3mmの極薄型トゥールビヨンムーブメントを搭載、ケースも7mmという自動巻きトゥールビヨンモデルでは記録的な薄さを誇ります。ケース素材は、プラチナ。文字盤は、これまた超絶技巧を要するギヨシェ彫りで表現。4種類の異なる模様を手作業にて彫っています。これは高度な職人技がブレゲの根幹であることの証左であり、ブランドの矜持でもあります。さらに右下のスケルトンは、ボールベアリングを組み込んだバーを文字盤で固定するという大胆な意匠で、こちらも目を引きます。微妙に中心をずらしたオフセンターのダイヤルもアートな洗練に拍車をかけています。

そう、つまりは芸術作品。2世紀を越す歴史、エレガントなデザイン、そして独自の複雑機構。どこをとっても、第一級。マリー・アントワネットの昔から、現代では各国の大統領らにも愛好家を持つブレゲ。こちらの逸品も、歴史を超えて受け継がれていくような、名品のひとつです。

〈ブレゲ〉

クラシック トゥールビヨン
エクストラフラット オートマティック 5377
自動巻き、パワーリザーブ約80時間、
3気圧防水。

税込19,514,000円

北館5階 時計サロン〈ブレゲ〉コーナー

※数に限りがございますので、品切れの際はご了承ください。

ファッションエディター

森下 隆太

Ryuta Morishita

1986年熊本県生まれ。早稲田大学卒業後、編集プロダクションを経て、雑誌「HUgE」「MEN’S CLUB」の編集に携わる。現在はフリーランスとして広告やカタログ、雑誌を中心に活躍中。ファッションのみならず、文学、映画など様々なカルチャーをこよなく愛する。