ロジェ ヴィヴィエのアイコン、
エレガンスを極めた
ベル ヴィヴィエ。

文/天野 志穂
2021/3/15

Roger Vivier

ベル ヴィヴィエ

女優カトリーヌ・ドヌーヴの
足元を彩ったエターナルな名品。

うっとりするような美しいシューズで、世界中の女性に愛され続けている「ロジェ ヴィヴィエ」。デザイナーのロジェ・ヴィヴィエは、パリの美術学校エコール・デ・ボザールで彫刻を専攻していましたが、2年後に退学し、シューズ職人の道へ。靴作りにすっかり魅了されたヴィヴィエは、1937年、パリのロワイヤル通りに最初のブティックをオープンしました。

フェミニンでエレガントなデザインに情熱をそそぎ、シューズをまるで美しいアートピースのように昇華させる彼のクリエーションに、当時のロイヤルファミリーや有名デザイナー、セレブリティからのオファーが殺到。1953年、英国の女王エリザベス2世が戴冠式に着用したシューズもヴィヴィエがデザインしたものでした。さらに、「クリスチャン・ディオール」がシューズアトリエを開いた際にはデザイナーとして抜擢され、コラボレーションを果たします。そして1963年、ついに自らの名を冠したブランドをスタートしたのです。

今ではメゾンのもっともアイコニックなスタイルとなった“ベル ヴィヴィエ”は、1965年に「イヴ・サンローラン」のモンドリアン・コレクションのためにデザインされたもの。オーバーサイズのスクエアメタルバックルとローヒールが印象的な、クラシックなパンプスです。1967年には、フランス映画を代表する名作『昼顔』で主演のカトリーヌ・ドヌーヴの足元を飾ったシューズとして一躍有名に。サンローランの衣装を身にまとった若きドヌーヴの、あの60年代フレンチスタイルのおしゃれっぷりに憧れ、何度も映画を観た人も多いのではないでしょうか。かく言う私もその一人です(笑)。ブルジョア階級でありながら娼婦として生きる女性を演じるには、ハイヒールではなくミドルヒール、しかもピンヒールではなくブロックヒールの靴が必要だったとか。映画のおかげで大ヒットしたことから、カトリーヌ・ドヌーヴへのトリビュートとして、『昼顔』の原題“Belle de Jour”とヴィヴィエを組み合わせ、 “ベル ヴィヴィエ”と名付けられました。

ローヒールなのに、とびきりエレガント。そしてクラシックでタイムレスなレジェンダリーシューズ、“ベル ヴィヴィエ”。履くたびにとっても素敵な気分に浸れる美しいデイリーシューズがあったら、女性は毎日幸せですよね。

パテントレザーならではの上品な華やかさが薫る一足。流行に左右されないスクエアトゥで、コーディネートに合わせやすく、シーンを選ばないのも魅力。

象徴的なスクエアのメタルバックルがアクセント。さりげなくブランド名の刻印が施されている。

シルエットの美しさだけでなく、歩きやすさも計算された4.5㎝のスランテッドヒール。

ロジェヴィヴィエ

ベルヴィヴィエ 税込95,700円

/本館2階

※数に限りがございますので、品切れの際はご了承ください。

ファッションエディター

天野 志穂

Shiho Amano

1973年神奈川県生まれ。上智大学卒業後、婦人画報社(現ハースト婦人画報社)に入社。雑誌『Vingtaine』、『ELLE Japon』のファッション担当を経て、2013年渡英。2018年に帰国した後、フリーランスとして活動。雑誌やWEB、広告などでディレクション、編集、執筆を行う。