東京藝術大学共同企画 貴重映像でふり返る 松坂屋上野店の歩み
荻野茂二 母を迎へて

*上映作品はオリジナル作品を約8分に再構成したものです。

荻野 茂二
日本におけるアマチュア映画のパイオニアの一人。1920年代終わりから1980年代初めまで9.5mm、16mm、レギュラー8、スーパー8、シングル8とさまざまなフィルムを駆使し、いわゆるホームムービーから劇映画、記録映画、日記映画など多様なジャンルによる400本以上の作品を制作した。1930年半ばには抽象的なアニメーション作品も何本か手掛けており、日本の実験映像のパイオニアともいえる人物。

『母を迎へて』
(16分[16コマ/秒]白黒、サイレント。オリジナル9.5mm、ブローアップによる35mmネガ及びプリント、デジタルベータカムでの復元を行っている。) 当時アマチュア映画作家たちの間で盛んだったコンテストに出品するために製作された作品。東京日日新聞社主催による「生きた広告映画」賞に出品したと言われている。巣鴨で炭屋を営んでいた荻野家にとって、上野松坂屋はおなじみの場所だったと思われる。映画は、雪国の実家から上京してきた母を、息子家族が上野駅で迎え、浅草を案内したあとに、上野松坂屋でお買いものをするという設定で、劇仕立ての構成のなかに、きちんとデパート内部(呉服売り場、エレベータガール、催事場、屋上動物園)や、地下鉄・送迎バスによるアクセスなど、震災復興により蘇った新生上野松坂屋の諸相が巧みに織り込まれた、見事なPR映画になっている。最後は、画面上の松坂屋の商標(創業者・伊藤家の紋から取ったイトウマルというデザイン)がゆっくりと「終」マークに変わるという、洒落の利いたエンディングになっている。

フリーランス・フィルムアーキビスト とちぎあきら

三好 大輔 プロフィール
映像作家。伝統工芸・伝統文化の記録保存活動のほか、近年は、市井の人々が記録した8ミリホームムービーを収集し、市民が共創する地域映画づくりを全国各地で実践する。過去の記憶を後世に繋ぐため、地域映像のアーカイブ研究にも力を入れている。東京藝術大学美術学部デザイン科非常勤講師/株式会社アルプスピクチャーズ代表。

映像提供:国立映画アーカイブ
企画構成:東京藝術大学 美術学部 デザイン科 共創ルーム
映像編集:三好 大輔 (東京藝術大学 美術学部 デザイン科 非常勤講師)
音楽制作:NOISIA
演  奏:チェロ 寺田 達郎・ピアノ 下山 静香
録音エンジニア:富 正和(M-AQUA)
デジタル変換:株式会社 東京光音